注目ポイント
「現代中国」誌の研究によると、台湾問題における中国の民族主義は、利益、アイデンティティ、感情などの要因の影響を受け、これらの要因は政府主導、社会埋め込みの影響を受けて武装統一の世論を形成している。中国政府の政治的教化と社会的・文化的な国益と栄光の物語が、中国国民の武力統一支持の傾向に強い影響を及ぼしているが、地理的に台湾に近く、経済貿易関係もある福建省や広東省の住民は、武力統一への支持派は少ない。
「現代中国」に掲載されたジャーナル論文「都市中国人の台湾の武力統一への支持度:社会的な地位、民族へのプライドと台湾に対する理解」によると、57.6%の中国人回答者は台湾武力統一を支持し、その中で、収入が高く、教育水準が高く、中国経済と政治に誇りを持つ者は武力での台湾統一を支持する傾向が強いということが分かった。
中国都市部の半数以上が台湾との武力統一を支持
2019年、華南理工大学公共政策研究所の研究者は、中国・北京、石家荘、西安、武漢、成都、南寧、昆明、広州、廈門の9つの都市に対して、合計1729人の民衆に対して、携帯電話調査を行い、「あなたは、台湾がいかなる状況下でも武力によって中国に統一されるべきではないということに同意しますか?」と質問。回答は「はい」=「武力統一は支持しない」もしくは「条件付きで武力統一は支持しない」、そして「いいえ」=「武装統一を支持する」または「最終手段として、条件付きで武力統一を支持する」の中から選択。
この世論調査によると、回答者の53.1%は武力統一を支持し、この問題に対する政府の立場に賛成しており、39.1%は反対し、7.8%は決めきれず「分からない」と答えた。この研究は「分からない」の回答を選択肢から外した後、57.6%の回答者が武力統一を支持し、42.4%の回答者が武力統一に反対した。
政治力・経済力が高く、民族への誇りや台湾に関する知識がある人は、統一を支持する傾向が強い。本研究ではさらに、どのようなグループが武力統一を支持しやすいのか、その因果関係を分析した。
社会人口統計学的、地位的要因では、高所得者、高学歴、男性、党員、都市口座などの特権的職業が武装統一をより支持することが分かった。民族へのプライドという点では、中国が経済的・政治的に台湾より優れていると考える人は、武力統一に賛成していること多く、台湾に関する知識では、当地のニュースに関心があり、蔡英文総統が台湾のリーダーであることを知っていて、台湾人と接触したことがあり、台湾の政府や社会を否定的に捉えている人ほど、武力統一を好む傾向があることが分かった。
また同研究によると、台湾問題における中国の民族主義は利益、アイデンティティ、感情などの要因に影響され、政府や社会的な埋め込みによって武装し、統一された世論を形成しているのである。
中国政府は教育とメディアを通じて政治洗脳と宣伝を行い、中国の都市部の台湾に対する民族プライド、台湾戦争の正しさと勝利への自信、台湾の蔡英文氏への否定的な認識を高めた。しかし、人々の利益やコストへの配慮という点では、特権集団の方がより「台湾との武力統一」を支持しているかもしれない。「中国の国家の利益に合致し、国家に大きな栄光をもたらす」--この国益と栄光の物語は、彼らが急速な物質的・心理的発達から他よりも多くの利益を得ているからである。