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事実上の駐米台湾大使である蕭美琴(しょう・びきん)代表は今週、軍事圧力を強める中国に対し台湾への侵略を阻止するため、世界から国会議員約60人をワシントンの外交官邸に迎え、それぞれの国が北京政府に厳しい制裁を発動するよう求める会合を開いた。ロイター通信が14日、独自入手した情報をもとに報じた。
英国、オーストラリア、カナダ、インド、日本、リトアニア、ウクライナ、ニュージーランド、オランダなどの国会議員は13日、ワシントンにある駐米台北経済文化代表処「ツイン・オークス」に集まった。ロシアのウクライナ侵攻以来、中国を警戒し、民主主義を共有の価値観とする国々に対し、覇権主義・中国に対し、ともに立ち向かうよう働きかける台湾側の最新の動きだ。
集まったのは「対中政策に関する列国議会同盟」(IPAC)のメンバー。それぞれの政府に対し、中国による台湾への「軍事的またはその他の強硬な行動」を阻むため、より大きな抑止力を求めるとする草案をまとめた。IPACは2020年、中国共産党と民主主義国間の交渉のあり方の改革を目的に、民主主義国の国会議員たちによって設立された国際議員連盟。
ロイター通信が確認した草案によると、「台湾への軍事侵略は、中国自身が多大な損害を被るということを、われわれの政府が中国に確実に伝えるよう働きかける。軍事的エスカレーションを抑止し、台湾との貿易やその他の交流を継続できるよう、意味のある制裁を含む経済的および政治的措置を検討すべき」としている。
草案はまた、これらの国と台湾の関係は中国政府が決定するものではなく、各国が決めることだとし、各国議員による相互訪問を今後、推進すると付け加えた。
そんな中、来月の中国共産党大会で新たな5年となる3期目続投が確実視されている習近平国家主席は、中国政府主導で台湾に〝民主的な政権〟を樹立するとし、そのためには武力行使も辞さないと公言している。
これに対しワシントンは、中国が台湾へ侵攻することを阻止するため、中国への制裁を検討しており、台湾は欧州連合(EU)にも同様の措置を取るよう外交圧力を強めている。
蕭代表は13日の会合で、「私たちにも友達がいることをいじめっ子に示すことは重要だ」と強調。「私たちはいじめっ子を挑発しようとしているわけではないが、彼らの圧力に屈するつもりもない」と宣言した。
今回の会合にはウクライナからも議員2人が参加。蕭氏は、「国際社会がウクライナを支持するように、台湾も支持することを期待している。中国からのさらなる攻撃を一緒に阻止してくれることを願っている」と語った。
14日に署名される草案をもとにしたIPACの合意書は、メンバー各国に対し、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働による供給網を確保したり、ロシアの軍事産業を支援する中国企業や、香港で人権侵害を行った中国当局者に対する制裁を求めている。