注目ポイント
米国下院のナンシー・ペロシ議長が、世界の注目を集める中で台湾を訪問。82歳のペロシ議員は、政治家としての資質に加え、若い頃はオードリー・ヘップバーンに似ていることでも知られており、服装も独特なセンスを持っている。台湾到着時のピンクのスーツや、翌日のブルーとホワイトの色使いの着こなしも話題を呼んだ。

過去のプレスリリースを見ると、いつも同じ白黒グレーのステレオタイプの女性政治家とは異なり、ペロシ議員は色をうまく使いこなしていることが分かる。彩度の高いさまざまな色を使ったペロシ議員のフォーマルスーツは、英国女王の「カラーチケット」に匹敵し、アクセサリーも個性的だ。パールのネックレス、エルメスのスカーフやピンバッジは、個人の趣味を表現するだけでなく、しばしば時事問題を反映することもある。



ワシントン・ポスト紙によると、かつての女性リーダーは自分の外見についてコメントすることを拒否することが多く、それは自分への評価の邪魔になるし、成果も上がらないと思ったのだろう。しかし、近年では自分のスタイルを武器にする若い政治家がどんどん増えている。
ペロシ氏は今まで自身の服装に関して言及してこなかったものの、服装に思考が置かれていることは明らかであり、彼女の強くパワフルなイメージは、その攻めの政治スタイルと相まって、多くの若者に影響を与えた。また、SNSの影響もあってか、彼女のインスタグラムの写真は、さらに彼女をファッションアイコンに仕立て上げており、女の子たちは彼女の着こなしをまねし始めた。
広報担当のジル・トテンバーグ氏は「彼女は保守的でありながら退屈させず、羽目を外すことを恐れない注目すべき女性だ」と語り、また「彼女の着こなしは、強さを感じさせる」とコメントしている。
2018年12月にトランプ大統領との会談を終えたペロシ氏は、MaxMaraのブリックカラー(レンガ色)のウールジャケットにサングラスをかけてホワイトハウスから出て来た。その写真がネット上で話題になり、「どこのジャケットか知っている?」とたくさんの人が興味を示し、中には彼女の服装を「決定的な着こなし」「柔らかな実力をナイフのように振りかぶっている」と評する人もいた。また、この流れを受けて、MaxMaraは既に絶版となっていたジャケットを再販したほどだ。
その後、Elle誌はペロシ氏にインタビューを行い、彼女のブリックカラーのジャケットがどのような意図による選択だったのかを聞いたところ彼女はこう答えた。「特に深い意味はなく、あのジャケットがとても綺麗だったから。綺麗で清潔感があることが私の一番の条件です」

そして2019年、アメリカのファッション誌「InStyle」は、ペロシ氏が引き起こした新たなファッションブームを“ペロシスタイル”と名づけて特集した。彼女は政治を攻める時のみ、このエルメスの定番を身につける訳ではなく、山でもホワイトハウスでもスタジアムでも、様々な柄のエルメスのスカーフを身につけている。また、彼女の選挙区のホームチームであるゴールデンステート・ウォリアーズがワシントン・ウィザーズと対戦した際には、チームカラーのシルクのスカーフを身につけ、スタジアムで休暇中の政府関係者と話をする姿も見られた。