2022-09-07 政治・国際

欧米からの制裁で追い詰められたロシア 物資不足で砲弾、ミサイルを北朝鮮から調達

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

窮余の一策なのか―。米紙ニューヨーク・タイムズは今週、ウクライナ侵攻を続けるロシアが、数百万発の砲弾やロケットを北朝鮮から調達していると報じた。公開された米機密文書によるもので、ロシアへの西側による厳格な制裁が効果を発揮し、追い詰められたプーチン政権が〝のけ者国家〟に頼らざるを得なくなったことの証だとしている。

このような状況に陥った理由についてケーガン氏は、「プーチン大統領が、(砲弾などを増産するという)最も基本的なレベルでさえ、戦争のためにロシア経済を動員することを望まないか、できないためだ」と指摘。つまり、ウクライナ侵攻をいまだに〝特別軍事作戦〟と呼び、「ロシアは戦時体制ではない」ことを国民に強調しているからだというのだ。

同紙によると、ロシアの軍事供給体制を限定的に抑えることは、ロシアの弱体化を図る米国の戦略の核心部分であり、ウクライナでの戦闘拡大と近隣諸国に対する将来の脅威の両方を阻止する狙いがある。

同紙はまた、ウクライナでのロシア軍の行動と開示された米国政府の機密情報から、モスクワがハイテク兵器に苦慮してきたことは何か月も前から明らかだと指摘。巡航ミサイルのような精密誘導兵器の的中率は低く、戦争の初期段階から、これらの兵器の半分以上が発射段階で失敗したか、目標をとらえることができなかったという。

しかも、これらの精密兵器の在庫も枯渇しているため、指揮官はミサイルの使用頻度を減らし、ウクライナ東部地域の町を荒廃させた残忍な従来型の砲撃を中心に、戦略を立てることを余儀なくされている。

その上で、ロシアが北朝鮮から砲弾を求めていることが明らかになったことは、ロシアの供給問題が最先端の戦車や精密ミサイルのハイエンド部品だけにとどまらないことを示している。

「これはロシア軍に深く根ざし、非常に深刻な軍事産業複合体の大規模な失敗を示している可能性が非常に高い」とケーガン氏は述べた。


 


 


 

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