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2022-09-06 政治・国際

インドが初の国産空母「ビクラント」を就役 インド太平洋地域で覇権目指す中国に対抗

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

インドは先週末、初の国産航空母艦「ビクラント」を就役させた。これでインドの空母はロシアから購入した「ビクラマディティヤ」に加え、2隻体制となる。経済・軍事両面で重要なシーレーン(海上交通路)であるインド洋への進出姿勢を強める中国をけん制し、海軍力の増強を図る狙いだ。

インドは兵器の多くを輸入に頼っており、防衛産業の国産化を急いでいる。モディ首相は2日の就役式典で、「(インドが)独自技術で巨大な空母を製造する国々に加わった」と強調。中国への言及は避けつつも、インド太平洋地域は「安全保障上の優先課題だ」とも訴えた。

米紙ワシントン・ポストによると、インド南部ケーララ州のコーチン造船所で建造された25億ドル(約3500億円)の空母「ビクラント」は、18年間にわたる設計と製造プロセスの産物だが、その間、繰り返し遅延が発生していた。

だが、世界第3位の軍事支出国である南アジアの巨人が、長年の敵国パキスタンとの領土紛争から方向を転換し、ライバル国の中国や米国が海洋力を競うインド太平洋地域に、より焦点を当てるという国家戦略の中で、同空母の就航はその大きな一歩となった。

式典でモディ首相は、同空母の建造をインドの「技術的自立と防衛産業発展の象徴」だとし、インドの新たな戦略的展望を示した。モディ氏は、「これまで長い間、インド太平洋地域とインド洋における安全保障上の懸念は軽視されてきた」とした上で、「だが今日、この地域は主要な防衛優先事項となった。そのため、わが国は海軍予算の拡大から能力の向上まで、あらゆる方面で取り組んでいる」と述べた。

ワシントン・ポスト紙によると、2020年以降、インドと中国はヒマラヤ山脈で激しい国境紛争を展開しているが、軍事的緊張は海洋領域にも波及しているという。8月には、インドからの抗議にもかかわらず、中国海軍の艦船がスリランカに停泊し、ニューデリーと北京の間で外交論争を引き起こした。

さらに、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発して中国は先月、大規模な軍事演習を展開し、台湾海峡を「軍事化」したことに、通常は控えめなインド政府は中国に対し、異例とも言えるあからさまな警告を発した。

軍事専門家は、「現代の空母は実戦において、新鋭化したミサイルや潜水艦に対し、ますます脆弱になっているとするものの、艦船は依然として国家の威信の象徴として広く認識されており、遠距離で軍事作戦を遂行する上でも不可欠」と解説した。

インドを除き、インド太平洋地域で競合する多くの国が海軍に多額の投資を行っていると同紙は指摘。中国は6月、米海軍だけの技術だった、艦載機を発信させる電磁カタパルト方式を採用した初の国産空母「福建」を進水させた。

同紙はまた、米国の同盟国である日本は、敗戦後建造した最大の軍艦となった護衛艦「いずも」を軽空母に改造中だとし、韓国も中国に対抗するため、20年代終わりまでに空母を進水させるとしている。

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