2022-08-29 政治・国際

中国で歴史的干ばつ 工場休止相次ぎ 長江流域4億5000万人の生活に影響

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Poyang Lake

注目ポイント

中国が歴史的猛暑による干ばつに見舞われている。4億5000万人余りの生活を支える長江の流域では、猛暑と水不足で農産物に甚大な被害が出た。また、四川省などでは水力発電用のダムが干上がり、多くの都市で計画停電や電気使用制限がかけられている。そのため、台湾や日本の企業も生産削減や操業停止に追いやられるなど、工業生産まで大きな打撃を受けている。

ニューヨーク・タイムズ紙は、干ばつにより、数十の河川や貯水池が枯渇したため、四川省の水力発電能力が半減し、工業生産が打撃を受けていると伝えた。フォルクスワーゲンは従業員6000人を抱える成都工場を1週間半閉鎖し、トヨタは組立工場の操業を一時的に停止した。

重慶では、いすゞ自動車、デンソー、パナソニック、ヤマハ発動機などの日本企業の工場を全面停止、あるいは一部停止してきた。また、台湾の大手電子機器メーカー、フォックスコンと、世界最大の電気自動車バッテリーメーカー、寧徳時代新能源科技(CATL) は、近くの工場での時短操業により、生産を削減したという。

ロイター通信によると、農業省は先週、農家に対してコメを収穫・貯蔵するとともに、今後数週間は、穀物の生育強化のために対策をとるよう呼びかける緊急の通達を出した。既に干ばつで大きな被害を受けている地域では、サツマイモなどの晩秋の作物に切り替えるよう勧めているが、容易ではない。

江西省の省都・南昌郊外の村で農業を営むフー・バオリンさん(70)はロイター通信に、「土地がないから他の作物への切り替えはできない」と話す。種子やゴマなどの生育状況は平年に比べて極端に悪く、ザボンのサイズは通常のわずか3分1だ。

ロイター通信は、近くの井戸は枯れて果て、池はすでに完全に干上がり、その周囲をガチョウの群れが所在なげにうろつくばかりだと伝えた。


 


 

あわせて読みたい