2022-08-30 政治・国際

【郷にいれば郷に従えとは言うものの…】台湾で起業して6年目の僕が郷に従うのに苦労しているここだけの話(笑)

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注目ポイント

外部からの出資ゼロ、人脈なし、営業経験なしの状態から台湾でデジタルマーケティングの会社を起業した佐藤峻さん。台湾現地のニーズに合わせてサービスを提供する中での苦労を振り返ります。

こんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年7月現在、起業6年目になる佐藤峻です。

今日このコラムでは、僕が他の人にはあまり話さない、僕が台湾で起業した後に、台湾に現地化するのに苦労しているお話しをしたいと思います。

本題に入る前に僕の紹介を少しさせてください。僕は2017年に台湾で50万元 (約200万円) の資金を元手に起業をしました。起業した時の僕は30歳で、ちょうど台湾の現地の会社を辞めたばかりでした。

起業した理由は、もう今しかないと思ったためです(笑) 振り返ると、あの時、会社を辞めたタイミングで起業をしなければ、その後一生起業なんてできなかったと思います。

起業というと、何か特別な能力や専門性がないとできないと思うかもしれませんが、その当時の僕にはそんなにすごいスキルがあったわけではありません。ただ幸いにも、デジタルマーケティング関連の仕事は3年ほど従事していました。

そんなこんなで、「何をしたいか?」ではなく、「何ができるか?」という出発点から、デジタルマーケティングの会社を始めました。

その後月日は流れ、幸いにも現在起業6年目になりました。この5年の間に、台湾で日系企業や台湾企業とお仕事をする機会に恵まれ、本当に色んな事を学びました。そんな僕が学んだことの一つに現地化があります。

現地化とは、要するに台湾の現地のニーズに合わせてサービスを提供する事です。頭ではわかっていても、7年台湾に住んでも未だになれない現地化もあります。

本稿では、日本人の僕が慣れない現地化の中でも、台湾で特に必要だと思う現地化についてお話をします。

今回みなさんに共有したいテーマは台湾現地化の苦労話です。

 

値切り/交渉文化への現地化

台湾の方は事ある毎に値切り交渉をします。僕は個人的に、値切りは嫌いです。

僕にとって値切りとは、なんだか相手のサービスに敬意を欠くような行為なので、僕は極力しません。

しかし台湾の僕の取引先はバンバン値切り交渉をします。これは台湾の人に悪気があるというよりは、台湾では値切る事は文化と捉えた方がいいと思います。

台湾に来て間もない方が台湾の顧客と取引をする際、相手が度々値切る事に対してフラストレーションを感じるかもしれません。

しかし値切りは台湾の商習慣と捉え、もはやどうにか出来るものではないと割り切れば、少しは気持ちが楽になります。

また、台湾では値切りに限らず、交渉も商文化の一つです。この国では交渉をしなければ、欲しいものは得られません。日本のように大人しくして、相手が気を効かせて、自分のニーズに応えてくれると思ってはいけません。

僕は先日オフィスの契約満了に伴い、新しいオフィスを探す事になりました。台湾では物件探しは通常 591 というウェブサイトで行い、気に入った物件があれば見学をして契約をします。

僕は今回合計7つの物件を見学し、そのうち4つは契約寸前まで進みました。しかし結局そのうちの 3つは交渉がまとまりませんでした。理由は大家さんがこちらの要求に対して一切妥協をしなかったためですが、僕の要求は決して理不尽なものではなく、要求をしなければ、法律により一部のスペースは使えないリスクも生じる所でした。

僕は元々内向的で、契約交渉は得意ではありません。しかし、台湾ではこちらから要求をしなければ何もしてくれません。これは、台湾が悪いとかそういう問題ではなく、これが台湾のスタンダードです。交渉にあまり慣れてない僕は毎回交渉をする度に、どっと疲れ、今でも慣れるのに苦労しているのはここだけの話です…

 

まーまーで進めるビジネス

「馬馬虎虎」(マーマーフーフー)という言葉をご存じでしょうか?とても覚えやすい単語なので、知らない方はこの機会に覚えるといいです!

要するに、「適当」という意味です(笑) 台湾の現地化でいつもフラストレーションを感じるのが、台湾の適当さです。

例えば僕らが業者に何かを要求すると「それぐらいいいじゃん」、という感じで適当に流される事はよくあります。

例えば、先日僕は僕らのあるお客さんの店舗の前を通ったのですが、看板に誤字脱字がある事に気づきました。例えるなら LOUIS VUITTON というロゴの最後にあるNが抜けていたようなミスです。その後僕はすぐに会社の総経理に LINE をしたら、彼はミスを投げていました。

内装業は特に適当な業者が多く、見える部分は綺麗にし、見えない配線などは適当にするという話はよく聞きます。ただし、これは台湾に限らず、海外であればよく起きる事だと思います。

それがいいか悪いかを判断するよりも、台湾や海外ではそういう事が起こる、という事を前提に進めるのがいいと思っています。

 

台湾は台湾のやり方で対処すればいい

最後に、これから台湾でビジネスを始めようと考えている方へ、僕自身が苦労している台湾現地化に関して僕なりの対策を2つだけお話しして本稿を終えたいと思います。

  1. 弁護士の費用をケチらない
  2. 契約やマニュアルの徹底

 

まず、弁護士の費用をケチらない事を強くお勧めします。正直起業2年目は全然お金がなく、顧問弁護士の費用の負担は大きかったものの、顧問弁護士をつけました。

理由は、台湾が交渉文化だからです。僕が立ち上げた会社は起業2年目に某企業と契約をした際に、契約を有利に運べず、踏み倒しを経験した事から顧問弁護士の起用を決定しました。

しかしながら台湾に進出する日系企業の中には、顧問弁護士は後回しにし、黒字ばかりを優先する企業がいます。多くの日系企業は僕らの起業2年目より絶対に資金はあるのに信じられません。

BtoB であれば、契約はどうするのでしょうか?BtoC であれば、消費者に訴えられたらどうするのでしょうか?その時その時で弁護士にお願いするのもいいですが、そうした単発の案件は通常顧問弁護士より単価が高いです。

次に、契約やマニュアルの徹底をお勧めします。台湾では前述したようなミスが起きる事を前提に仕事を進めるといいと思います。ミス防止は当然大事なのですが、日系企業は防止に力を入れる反面、ミスが起きた後の対応が弱い気がします。

台湾ではミスは度々起きるものであり、大事なのは、起きた時にどう対応するかが大事だと思っています。残念ながら、契約書やマニュアルがないとミスが発覚した際、自分の否を認めずに修正をしない業者や社員がいる事はあります。

社外に対しては、契約書にしっかりミスに対する対応を明記し、社内に対しては、マニュアルを準備していればミスした社員は言い訳がしにくいでしょう。

僕自身、台湾は交渉もビジネスの進め方も日本と異なり、色々思う所はありますが、愚痴を話していても前には進めません。「台湾はこういう所なんだ」と割り切って対策を取るといいと思います。

僕の現地化の愚痴(苦労話)にお付き合いいただきありがとうございました。参考になれば幸いです。

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