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日本統治時代、台湾糖業橋頭製糖工場に平穏無事を祈り、職員と住民の距離を縮めように設置された聖観音像の修復が行い、10月に本来のブロンズの色合いが復活する見込み。文化局の資料によれば、奈良県薬師寺東院堂にある聖観音像を模して制作され、極めて高い芸術的、歴史的価値があるという。
(高雄中央社)南部・高雄市の台湾糖業橋頭製糖工場跡地に日本統治時代から残る聖観音像の修復が行われている。現在は表面に塗られた黒い塗料を落とす作業が進められており、10月にも本来のブロンズの色合いが復活する見込みだ。
聖観音像は高さ182センチ、24枚のハスの花びらが表現されている台座の高さは60センチ。台湾糖業が市政府文化局に修復を申請し、今年5月から正修科技大学(高雄市)の研究センターが作業を行っている。
文化局の資料によれば、薬師寺東院堂(奈良県)にある聖観音像を模して制作され、極めて高い芸術的、歴史的価値があり、工場を守り続けてきたという。
工場の建設当初、機械設備の故障が相次いだ他、日本人職員と現地住民らの間で文化の違いから衝突や争いが起きたため、当時の工場長が聖観音像を設置して平穏無事を祈り、職員と住民の距離を縮めようとしたとみられる。
大学側によると、黒い塗装は防犯のために塗られたものだという。修復に際して非破壊検査を行い、聖観音像の材質や塗料の特徴を把握し、表面の清掃と塗料の除去をした上で、補強、補修、色彩と光沢の調整、表面の保護を施すとしている。