注目ポイント
台湾でリリースされるCDのジャケットには、日本以上にデザイナーの遊び心や斬新なアイデアが反映されているようです。様々な可能性を秘めたCDのパッケージデザインから、台湾の音楽シーンを追っているラジオDJ&コーディネーターの竹内将子さんの心を動かした珠玉の2作品を紹介。
台北のレコードショップでCDを買った時、雑誌ほどの大きなもの、手紙の形をしたBOX型だったり三角形のケースだったりと、そのインパクトあるパッケージに興味を持った。台湾のCDは従来の日本にあるCD棚には間違いなく収まらないことを知りながらも、様々なデザインにわくわくしながら購入しては聴いてきたけれど——。
最近、台湾の蔡総統のインスタに登場した一枚の写真。それは、デザイナーの李政瀚&于薇、そしてバンド・董事長樂團が蔡総統と接見した時の「ジョジョのポーズ」の写真が好きで、ひっそりとコレクションに保存マークを付けて時々見てはテンションを上げている(笑)。
それは……遡ること今年の4月3日、第64回グラミー賞で台湾のデザイナーが「最優秀アルバムパッケージ賞」を受賞。それが台湾で初めてのアメリカのグラミー賞受賞だと知って私は心躍った!

じっくりと見てみると色のグラデーションの美しさと鮮やかさ、何層にも重なった紙の質感、紙のカット型や素材、内側の歌詞カード1枚1枚のデザイン、ずっしりとした重み、その全てに惹き込まれる。この1つ1つに、どんな物語や想いが込められているのか、いつか機会があったらデザイナーの李政瀚さんと于薇さんに聞いてみたいなと思っているところ。
そして、前回の記事で書いた台湾最大の音楽アワードGMA(金曲獎)にも最佳裝幀設計獎(最優秀ジャケットデザイン賞)があって、この1年にリリースされたアルバムの中からパッケージデザインの最も素晴らしい作品が選ばれる。今年は、最優秀台湾語アルバム賞を受賞したバンド・百合花の「不是路」がこのジャケットデザイン賞を受賞した!


「不是路」のジャケット、ある角度から見ると、お茶、花、果物、燈、蝋燭、香りなどを感じ、それぞれの開き方によっても見える景色が違っていて、フォトフレームのようにも見える。歌詞カードも可愛く縁取りがされていて、何かメモを書いている様なワクワクした感じがある。
陳さんのデザインと百合花の音楽が合わさることによって、この何とも素敵なCDが生まれたんだなぁと実際に手に取って感じた。

台湾人デザイナーの遊び心や斬新なアイデア、それは新たな挑戦だったり、時に大胆だったり繊細だったり、その奥に込められた作り手の想いなど、様々な可能性を秘めたCDのパッケージデザイン!!!
CDで音楽を聴くのが好きな人、CDをコレクションするのが好きな人、お気に入りの台湾のCDのケースを開けた時に感じる驚きや嬉しい気持ちをいろんな楽しみ方で体験してみてほしいなぁと思っている。
〈台湾史上初のグラミー賞を受賞した李政瀚さんのインタビューはこちらから〉