2022-08-24 政治・国際

エチオピア航空の機長と副操縦士が居眠り 目覚めたが降下態勢遅れ2度目で無事着陸

© Photo Credit: Reuters /達志影像 ITA Airways

注目ポイント

アフリカ東部エチオピアの首都アディスアベバの空港で先週、エチオピア航空ボーイング737型機が降下不十分で着陸をやり直し、2度目に無事、着陸したことが報告された。一見、よくある事例のように映るが、実はコックピットでは機長と副操縦士がそろって居眠りをしていたことが発覚。一歩間違えれば大惨事になった可能性もあった。しかも、5月にも同様の事例が報告され、空の安全を脅かす深刻な問題になっている。その原因とは―。

米誌「ニューズウィーク」によると、エチオピア航空の事例が報告されたのは今月15日。スーダンの首都ハルツーム発アディスアベバ行きの同社B737機は、目的地の空港への着陸態勢を取るために降下を始める地点に近づいたため、管制塔が同機に通信したが返答がなかった。

この時点でコックピットの機長と副操縦士はともに居眠り中で、管制塔との連絡にも応じず、下降地点にも気付かなかったため、高度約1万1300メートルで飛行を続けたという。そのため、セットされていたオートパイロットの解除音が鳴ったことで目を覚まし、慌てて高度を下げて着陸をやり直し、無事着陸した。2人の居眠りにより到着が25分遅れたという。同機は154席の仕様で、ハルツームからアディスアベバへは通常2時間の飛行だった。

ニューズウィーク誌によると、エチオピア航空は今回の事例について全面調査を開始し、問題の機長と副操縦士を無期限職務停止処分にした。

同航空会社は、同機が「アディスアベバ空港管制塔と一時通信不能となった」とした上で、「通信は復旧し、同機は無事着陸した。問題の乗員は調査が完了するまで職務から外した。調査結果によっては適正な矯正指導がなされる。安全が常にわが社の最優先事項であることに変わりはない」とする声明を発表した。

英BBCがこのニュースの一報を伝えると、ソーシャルメディアの反応は「衝撃」と「怒り」がほとんどだったが、中には最先端の航空機を扱う機長らへのプレッシャーに対する同情を寄せるものもあった。米航空評論家アレックス・マチェラス氏は、「パイロットが抱える疲労感は今に始まったことではない」とし、「国際的にもその問題が空の安全の深刻な脅威になっている」と述べた。

同氏が指摘するように、今回と同様の事例は今年5月にも報告されていた。

米ABCニュースによると、イタリアの国営航空会社ITAエアウェイズ(旧名アリタリア航空)のニューヨーク発ローマ行エアバス330便が、フランス上空を高度約1万1600メートルで飛行中、副操縦士は認められた睡眠時間だったため眠っていたが、機長は操縦席で居眠りしていたことが分かった。

ABCニュースによると、フランスの管制塔は同機が約10分間にわたり通信不能状態になっているとして捜査当局に通報。ハイジャックなどテロの可能性もあるとして、仏軍は戦闘機数機をスクランブル発進させた。機長はその後、目が覚めたとしている。

別の米航空評論家ジョン・ナンス氏は、もし機長が眠っていて気象情報や燃料の状態を確認していなかったとすると、「とんでもなく危険なこと」だとし、「航空機はオートパイロットでも飛行できるが、賢い選択ではないし、安全ではない」と指摘した。

ITAによると、機長は当初、「無線が故障した」としていたが、捜査当局は「機長の主張と内部調査の結果に大きな矛盾がある」とし、機長が居眠りしていたと結論付けた。同社は後日、機長の行動は「社内規則に反する」とし、解雇処分を発表した。

米サウスウエスト航空とデルタ航空のパイロット組合は4月、人材不足によるしわ寄せで、パイロットの勤務激化に伴う疲労が蓄積しているとして会社側に対応を要求。「急速かつ慢性的な疲労は、会社が最優先する安全を脅かしている」と訴えた。

欧米の航空業界では、コロナ禍からの回復を図るため、コロナ前のレベルに便数を戻す動きが活発化している。だが、新型コロナウイルスのパンデミックにより減便し、一時解雇した乗務員やグランドスタッフの再雇用と訓練が追い付かず、現職のパイロットにも大きな負担がかかっているという。

今回のケースのような事例は表面化していないだけで、実際にはもっと起きていると専門家はみているが、パイロットの過労により本当にコックピット内の居眠りが増えているとしたら、早急な改善策が求められる。


 


 


 

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