2022-08-23 政治・国際

モスクワ車爆破に反プーチン勢力が犯行声明 元ロシア野党議員が今後の攻撃標的を明かす

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Ilya Ponomarev

注目ポイント

モスクワ近郊で20日、プーチン大統領の盟友アレクサンドル・ドゥーギン氏(60)が狙われたとされる車爆破事件について、ロシア国内の反プーチン地下勢力「国民共和国軍」(NRA)が犯行声明を出した。現体制の転覆を謀る活動はすでに各地で起きていて、今回もその一つだという。ウクライナ侵攻から明日で半年。〝特別軍事作戦〟は予定通りには進まず、国内の反体制勢力がプーチン氏を追い詰めるのか―。

NRAは声明の中で、「プーチン大統領は民族戦争を起こし、ロシア兵を無意味な死へと追いやった軍事犯罪者だ」と批判した。

この事件は、「プーチンの脳」と呼ばれる極右思想家で政治活動家のドゥーギン氏が娘でジャーナリストのダリアさん(30)と共に集会に出席し、その帰り道、所有する車に爆弾が仕掛けられ、高速道路を走行中に爆発したもの。この車をたまたま運転していたダリアさんが死亡。ドゥーギン氏は別の車に乗っていたため助かった。

事件直後、ロシア側の一部はウクライナの犯行と非難したが、ウクライナ政府は「何の関係もない」と否定していた。

英紙ガーディアンによると、ロシアの元野党の議会議員で反体制派として国外追放されたイリヤ・ポノマリョフ氏(47)が、現在拠点にしているウクライナの首都キーウで21日、NRAについて語った。同氏は自身がキーウで開設した反プーチン放送局「フェブラリー・モーニング」に出演し、車爆破はNRAによるものだと断定。「ここ数か月、ほかのパルチザンもロシア国内で活動を展開している」と述べた。

同氏は「重大な出来事は昨夜、モスクワの近くで起きた」とした上で、「この攻撃はプーチンイズムに対するロシア人によるレジスタンスの新たなページとなった」と位置付けた。

ガーディアン紙によると、ポノマリョフ氏はロシア国内のパルチザンが、プーチン政権中枢にいる人物を狙った攻撃を次々と仕掛ける準備が進んでいると主張。その対象はオリガルヒ(新興財閥)やロシアの公安関係者だとした。

同氏は番組でNRAのマニフェストを紹介。それによると、「プーチン大統領は権力を奪取し、憲法を修正し、スラブ民族間の兄弟殺し戦争を引き起こし、ロシア兵を確実かつ無意味な死に追いやった戦争犯罪者である」と宣言。

続けて、「われわれは権利を剥奪された人々が暴君に反抗する権利を持つと信じ、プーチンは追放され、破壊される!」とし、ロシア政府と地方行政がプーチンの「共犯者」であると糾弾した。

ポノマリョフ氏は2014年3月、ロシアによるクリミア併合をめぐり、下院で唯一反対票を投じた。その結果、プーチン政権から圧力がかけられ、同年9月、米国を訪問した際、ロシア政府は同氏の帰国時の入国を禁止したため、事実上米国に亡命した。その後、19年にウクライナで国籍を取得している。

今年2月のウクライナ侵攻が始まった翌月、ロシアなどで人気のメッセージアプリ「テレグラム」のプラットフォームを使ったロシア語放送局「フェブラリー・モーニング」を開設し、活発に情報を発信している。

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