注目ポイント
書籍「曽経烽火―太平洋戦争下的宜蘭故事」は宜蘭県に残る太平洋戦争末期の戦争遺構をまとめて出版。日本統治時代の1944年、日本軍は台湾各地の防衛力を強化するため、「台湾島築城計画」を策定。14カ所の陣地などが計画、一部の施設は現在も残されている。
(宜蘭中央社)東部・宜蘭県に残る太平洋戦争末期に造られた戦争遺構をまとめた書籍「曽経烽火―太平洋戦争下的宜蘭故事」が出版された。終戦記念日の15日に開かれた新書発表会では林姿妙(りんしみょう)県長が地元の高校生らに書籍を手渡し、ふるさとの歴史を知る生きた教材にしてほしいと期待を寄せた。
日本統治時代の1944(昭和19)年8月、日本軍は台湾各地の防衛力を強化するため、「台湾島築城計画」を策定。宜蘭では沖縄攻略の飛行根拠地奪取を目的とする敵の奇襲上陸や台北攻略に向けた上陸を阻止しようと、蘭陽渓以北の海岸線と標高の比較的低い地域を中心に陣地の構築を試みた。
14カ所の陣地と3つの飛行場を援護する陣地構築が計画され、防衛に向けた準備が進められたが、連合軍が実際に台湾に上陸することはなく、一部の施設は現在も残されている。
林氏は文化部(文化省)や行政院(内閣)海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)などが関連遺構の保存・修復を支持・支援していることに感謝を示し、宜蘭が文化資産の保存と歴史教育の重要な架け橋になっていると語った。