注目ポイント
監督、コーチ、選手以外にも多くの人が関わって成り立っているプロ野球の世界。今回は外国籍選手とファン、フロント、首脳陣を直接結ぶ大切な役割を担う通訳ーー台湾出身で、現在は北海道日本ハムファイターズで王柏融選手の専属通訳を務める林庭逸さんにスポットを当てた。
林庭逸さんは1985年台湾生まれ。野球の名門校、台北の東園小学校で野球を始め、中学では右投げ左打ちの外野手として活躍。その後、岡山県の岡山県共生高校に野球進学した。
2012年、横浜DeNAベイスターズで王溢正選手、陳冠宇選手(ともに当時)の通訳を担当した。2017年、ベイスターズの打撃投手を経て、2020年から北海道日本ハムファイターズで王柏融選手の専属通訳を担当している。
日本の野球部に驚いたこと
――台湾の中学から日本の岡山県共生高校へ進学しましたが、野球部に何か違いはありましたか?
「日本の高校でみんなが丸刈りにしていたことと、練習用ユニホームの背中や手袋に自分の名前を書くことに驚きました。もう一つ、練習が長い。日本の高校は2時半に授業が終わって、それから練習を始めるので、練習終了がとても遅い。土日もほとんど休みがない」
――台湾はそうじゃないんですか?
「台湾の学校野球部は、12時に授業が終わって、それから練習します。土日は基本的に休みです」
――クラスは野球部選手だけのクラスでしたか?
「台北の中学の時は、クラスの生徒は野球部選手だけでした」
――高校生の時に日本での生活を始めて、すぐに馴染めましたか?
「最初は納豆にびっくりしました。高校の寮はおかずが少ないからご飯が余る。いつも空腹で、しかたなくご飯にマヨネーズや醤油や生卵をかけて食べました。それでも足りなくて恐る恐る納豆に手を出しました。何回か試しているうちにおいしくなりました。今では僕のエネルギー源になっています。他の台湾の選手も同じです。みんな最初は苦手ですが、いつの間にか食べられるようになります」
日台野球の共通点
――練習時や試合前のウォーミングアップの仕方で、何か台湾と違うところはありますか?
「ほとんど同じです。大リーグの選手がいやがると言われる全体練習も、台湾選手は反発しません。台湾の小中学校では全体練習をよくします。日本のやり方によく似ていて、チーム全体練習が多いんです。私はベイスターズと日ハムでやっていますが、プロの練習は、個人でやる時もあります」
――マナーの違いに戸惑いはありませんでしたか?
「特には感じませんでした。台湾の少年野球は、子どもたちがグラウンドに入るときは礼をします。最近は台湾の子どもたちもマナーを重んじるようになりました。たぶん日本の影響だと思います。私が中学のコーチから教わったことは、道具を大切にすることです」
台湾人選手同士の交流
――台湾人選手同士の交流はありますか?