2022-08-16 政治・国際

ウクライナ最大ザポロジエ原発へ攻撃相次ぐ 住民は〝第2のチェルノブイリ事故〟に恐怖

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注目ポイント

ロシアがウクライナに侵攻して来週で半年。ウクライナ東南部エネルホダルの住民はその間、1986年のチェルノブイリ原発事故以来、最大の原子力災害が引き起こされることにおびえ続けている。同市には欧州最大級のザポロジエ原子力発電所があり、周辺施設などが相次いで砲撃されているのだ。

ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムのペトロ・コティン総裁は先週、ロシア占領下にある同原発への砲撃に強い懸念を表明。コティン氏はロイター通信に、ロシアによる先週の砲撃で同原発とウクライナの電力網を結ぶ3本の送電線が損傷したと述べた。

ロイター通信によると、砲撃の一部は放射性物質の容器174基が置かれた使用済み核燃料貯蔵施設の近くに着弾。コティン氏は、「これらは原発内で最も放射性レベルの高い物質だ。(砲撃されれば)周囲に広がって放射能の雲のようなものが生じ、どの方向に向かうかは天候次第だ。リスクは非常に高い」と警告した。

エネルホダル市のオルロフ市長も14日、同原発への相次ぐ攻撃について、「明らかな核テロだ。いつ何が起きるか予測できない」と爆発や大事故の恐れを警告。市外に脱出した市長は「攻撃は昼夜行われ、大惨事のリスクは日ごとに高まっている」と訴えた。

一方、ロシアのタス通信はロシア当局者の情報として、ウクライナが先週、ザポロジエ原発に対し2回目の砲撃を行ったと報じた。また、ロシアが設置した地方行政機関の当局者はテレグラムで、少なくとも3回の攻撃が放射性物質の保管場所近辺であったとしている。

ロシア外務省のザハロワ情報局長は15日、ザポロジエ原発を含むウクライナ全土からの軍部隊の即時撤退をロシアに求めた欧州連合(EU)全加盟国と日米などの共同声明は、ロシアが原発に脅威を与えているとの「明白な嘘をついている」と批判した。

ザハロワ氏は、同原発とその周辺への攻撃がウクライナ側から行われていることに「疑問の余地がない」と主張。EUなどの声明は同原発への国際原子力機関(IAEA)の立ち入りを妨害しようとするウクライナ政権側の言い分を反映していると非難し、ロシアはIAEAの現地入りに協力を惜しまないと強調している。

同原発への攻撃をめぐり、ロシアはウクライナ軍の仕業だと非難する中、ウクライナ当局はザポロジエ原発でチェルノブイリ原発のような大事故が発生するリスクがあると強調し、国連のグテレス事務総長は原発付近での軍事活動を直ちに停止するよう呼びかけている。

また、ウクライナのクレバ外相はIAEAに対し、可能な限り早期にザポロジエ原発に調査団を派遣し、安全状況を確認するよう要請。同国のモナスティルスキー内務相は、「ザポロジエ原発は現在、無教育の専門家の手中にある」とし、「悲劇を引き起こしかねない」と指摘。

同内務相は、「危険は最高レベルに達している」との認識を示した上で、ロシア側の行動が変わらなければ、「どのような悲劇が起きるか想像することさえ困難だ。近隣の住民の避難など、いかなるシナリオにも備える必要がある」と説明した。

そんな中、ロシア外務省のビシュネベツキー不拡散・軍備管理局次長は、IAEAがザポロジエ原発を査察する場合、危険が大き過ぎるため首都キーウを経由することはできないと述べた。ロシアの複数の通信社が16日報じた。

ビシュネベツキー氏は記者団に対し、「キーウを経由するというのは、最前線を通って原発に行くということだ」とした上で、「ウクライナ軍は全て同じように構成されているわけではないため、これは大きなリスクだ」と述べ、消極的な姿勢を示した。

タス通信によると、ビシュネベツキー氏は、IAEAが代表団を派遣しても、ウクライナが求める原発の非軍事化に対応する権限はないとも述べた。



 

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