2022-08-16 政治・国際

少年野球強豪校 福林國小―台湾代表チームで活躍する日本人選手―

注目ポイント

台北市立福林小学校の野球部に日本人の子がいる。徐(高橋)くん(新小6)は7月初めに韓国のソウルで行われたアジア予選の対ニュージーランド戦で3打数2安打、中継ぎ投手として三者凡退に抑えるなど大活躍。台湾チームは決勝戦で宿敵韓国に1‐0の僅差で勝利、ワールドシリーズ出場が決まった。少年野球の聖地ウィリアムスポート(ペンシルベニア州)で世界一を目指す。

≪アジア太平洋予選で活躍した日本人≫

背番号11をつけた徐(高橋)大聖くんは、4年生の時福林小学校の野球部に入った。守備は主に投手と2塁手をやっている。福林國小の野球部員は勉強も特別扱いされない。6年生ともなると授業時間の半分以上学校にいないことが多いが、限られた時間で普通の小学生と同じように勉強もテストもしなくてはならない。野球はナイター設備のあるグランドで平日3時から7時までみっちり練習している。大聖くんはアジア予選決勝の韓国戦では代打で出場したものの、高めの球につられて空振り三振、しかし第2戦のニュージーランド戦ではレフト前ヒットを2本打ち、中継ぎ投手として三者凡退に抑えた。ただ今のところ盗塁はゼロなので、今後の課題は走塁強化だと言う。そんな大聖くんはテレビなどで野球観戦をするとき、もし日本対台湾の試合をやっていたら、やっぱり日本を応援するそうだ。それはお母さんが大の阪神ファンで、うちで阪神戦ばかり見ているから日本の野球が好きになったのだろう。大聖くんは阪神の中でも特に近本選手のファンである。ただし、お母さんの話によれば、大聖くんが誰のファンかは気分によってコロコロ変わるらしい。将来日本のプロ野球選手になる夢を持っている。今のうちにサインをもらっておくとよい。プレミアがつくかもしれない。

 

≪宿敵韓国チームから代表権奪還-7年ぶり≫

ソウルの球場は人工芝なので、それに合わせて渡韓前には3週間練習した台南から人工芝の天母球場へ移動、そこで三日間の集中練習をするなど、6年生の卒業を待って、一人も感染者を出さないようバブル方式で強化合宿を行ってきた。そして迎えた7月4日の決勝戦。福林國小のエース廖芫豎くんが6回2安打完封、攻撃では3回にレフトオーバーの2塁打を打ち、勢い余って2塁をオーバーランしたところ韓国の2塁手と3塁手に挟まれチャンスが潰えたと思われたが、2塁手が投げたボールが廖くんのヘルメットにあたりボールはレフト方向に転がった。その間に廖くんは本塁まで激走、これが決勝点となった。1点を守り抜きたい台湾チームであったが、最終回裏、韓国チームの攻撃、1死走者なしの場面で打者は3塁ゴロ、3塁塁審はファウルのコールをしたが、主審はフェアをコール、打者は一塁に生きた。納得のいかないプレーであったが、次の打者の打球は強烈なライナーで2塁手頭上へ、2塁手は見事なジャンプでキャッチし、走者が塁を飛び出していた一塁に送球、併殺が成立、ゲームセットとなった。台湾予選からアジア予選まで福林國小はノーエラー、鉄壁の守備を誇る野球部の面目躍如であった。

≪多くの支援で勝ち取ったアジア代表権、世界一に向けて≫

ソウルで行われたアジア太平洋予選だけでも随分経費がかかった。8月17日から2週間近くペンシルベニアで熱戦を繰り広げる予定だが、その経費は選手一人当たり10万元(約45万円)以上必要と見積もられている。

台北市北部の北投に本店を置く陽信銀行は今年2月、福林國小野球部にマイクロバスを寄付した。今回の米国遠征が決まって、陽信銀行は保護者の負担を少しでも減らし、子供たちには最高の環境で思いっきりプレーしてもらうため、経費総額の約半分150万元(約675万円)を寄付することにした。また、体育署(文科省スポーツ庁に相当)、台北市教育局(教育委員会に相当)、体育局も陽信銀行と連携して、厳しいコロナ禍の中で頑張ってきた子供たちのため、チームのため、台湾のためにと、230万元(約1千万円)以上の援助を決めた。このように福林國小の子供たちは、多くの人の夢とやさしさと期待を背負って世界一に挑む。

アジア代表が決まった時、章子健監督は「コロナ禍の中、子供たちは1か月以上もうちへ帰ることなく練習してきました。今日の試合でも、最後の1秒まで集中していたから勝利を手に入れられたんです。選手たちの努力がわたしをウィリアムスポートへ連れて行ってくれるのです」と涙ながらに語った。

自分のためにも、応援・支援してくれた人たちのためにも悔いの残らないよう、みんなの手で夢をつかみ取ってほしい。


 

 


 

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