2022-08-12 政治・国際

マレーシアの公式アプリ「LGBT転向療法」がGoogle Play上で削除されて宗教担当閣僚が遺憾の意を表明

© JAKIM

注目ポイント

マレーシアのLGBT権利擁護団体Pelangi Campaignの創設者であるヌーマン・アフィフィ氏は「Googleをはじめとするプラットフォームは、自分たちの市場に置くことを許可するアプリの内容を見直し、改善するべきである。ヘイトコンテンツと戦おうとするグループは、監視、検閲、さらには誹謗中傷のリスクなど、すでに様々な障害に直面している」と述べた。

マレーシアの政府部門が開発したモバイルアプリは、LGBT(同性愛者、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々が「自然へ回帰」することを支援すると主張している。このアプリは、同プラットフォームのポリシーガイドラインに違反しているという理由からGoogle Playストアから削除された。

このアプリは「Hijrah Diri」と呼ばれ、2016年7月に初めてリリースされ、ツイートを通じて、マレーシアのハラル認証会(JAKIM)の目に留まった。このアプリは、LGBTを自然回帰または純粋な貞操を守ることに役立てることができると主張しており、アプリ内にはラマダン中に同性愛行為を「諦めた」ゲイ男性の経験を綴った電子書籍も含まれている。

 

アプリの中身は? ユーザーは買うのか?

「マレーシア・トレンド」によると、このアプリでは、LGBTの祈りに関するイスラム教の視点や、ユーザーが聴くこともできる関連コンテンツも提供されているという。

その他、アプリ内にユーザー同士がチャットできる機能や、デザインにもこだわっている。さらに、マレーシアのLGBTに関する記事を幅広く掲載したコンテンツもある。

また、LGBT関連の講演、LGBTを治療するためのディスカッションや電子書籍など、全てこのアプリで見ることができる。

このアプリは、インターネット上で、イスラム開発局の行動を賞賛する声と、税金の無駄遣いだと批判する声と、評価は賛否両論だ。

「The Guardian」の取材に対し、Googleはショップのポリシーに則って調査し、本ポリシーへの違反が確認された場合、Google はすべてのユーザーとの信頼関係を維持できるよう適切な措置を講じる、と声明で述べている。

このアプリは現在、Google Playストアから削除されており、ガイドラインはアプリがユーザーをあざむこうとしたり、ユーザーに不正な行動を起こさせたりすることを防ぐためにある。

「Googleをはじめとするプラットフォームは、自分たちの市場に置くことを許可するアプリの内容を見直し、改善するべきである。ヘイトコンテンツと戦おうとするグループは、監視、検閲、さらには誹謗中傷のリスクなど、すでに様々な障害に直面している」と述べたアフィフィ氏は、2023年の総選挙に向かうマレーシアでは、特に保守票を獲得したい候補者によってLGBTに対しての偏見(物事を実際よりも悪く、恐ろしく、致命的で破壊的なものとして捉えること)が激化するとも断言している。

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