注目ポイント
ここ数十年で世界的に気温が一気に上昇し、それと共に感染症の発生数が激増。 SARS、MERS、ジカ熱、西ナイル熱、新型コロナウイルス、そして今ではサル痘やポリオの集団発生が公衆衛生を脅かしている。地球温暖化がもたらす感染症急増の現状と未来を米誌「タイム」が検証した。
ランセットの報告書によると、蚊の繁殖で知られている一部途上国では、蚊が活動している期間が1950年~59年と2010年~19年を比較すると、39%増加した。
蚊は一般的に高湿度の気候で繁殖するが、干ばつの原因となる高温は、西ナイル病などの蚊が媒介する特定の病気を拡大させる可能性もあるという。より乾燥した干ばつのもとでは、蚊の媒介動物の一つである鳥類は、水がある限られた場所に集まる傾向があり、蚊が新しい宿主を見つけるのに理想的な条件となる。
コウモリも、気候変動のストレスに対応するため、新しい領域に拡大している。気温が上昇すると、より好ましい気候を探すようになり、動きが活発化すると、人との接触や新型コロナウイルスなどの病気の蔓延の可能性が高まる。「これまで接触することのなかった動物の集団が互いに交わるようになっている」と米ジョンズ・ホプキンス大のグロンバル研究員は解説した。
タイム誌によると、これらの行動の変化と生息地の変化は、一つの種の健康が全ての種の健康と密接に結びついている。専門家は、ウイルスやバクテリア、その他の病原体が異なる動物種間でどのように循環するかを理解するため、より多くのリソースを投入することが、それらの行動が人間の健康にどのように影響するかを理解するために重要であるとしている。