2022-08-10 政治・国際

ペロシ議長との面会避け、中国訪問の韓国 同盟・米国から「どちらの味方か」と不信感

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注目ポイント

韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権の中国へのすり寄りが、米国の不信感を呼んでいる。尹大統領が先週、訪韓したナンシー・ペロシ米下院議長に会わなかったことについて、「韓国政府の判断は間違っている」という批判が米国で相次ぐ中、尹政権は外相の中国初訪問を実現させた。

韓国紙・朝鮮日報によると、ミッチェル・リース元米国務省政策企画部長は先週、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「(ペロシ議長が)韓国の指導者(尹大統領)に会えなかったのは非常に懸念される。(韓国政府の)間違いだったと思う。(台湾問題に関して)韓国は価値観を共有しないという信号を世界に発信してしまった」と述べた。

リース氏はまた、尹氏がペロシ議長に会わなかったのは、韓国側の「二重のミス」と指摘。「米国を侮辱しただけでなく、(韓国政府が)中国をなだめるつもりだったのなら、成功しないだろう」とし、「韓国がどちらの味方なのか、あいまいさをなくすよう望む」と迫った。

さらに、ペロシ氏が韓国に到着した際、韓国政府関係者が出迎えなかったことが外交上の礼を欠いたとの声が上がったことについて聞かれたリース氏は、「中国に対する尊重が間違った形で表出されたものだと思う」と述べた。

マーク・フィッツパトリック元国務次官補代理もVOAとのインタビューで、「韓国に圧力をかければ屈服する」という認識を中国に与えると指摘。「韓国は、自分たちが望んでいるほど国際的役割を担う水準にまだ到達していない。中国の考えを見極め、何度も振り返って安全に行こうとばかり考えている」と酷評した。

対照的に中国メディアは尹大統領がペロシ議長に会わなかったことをたたえ、「独立的で自主的な外交」と称賛した。

韓国紙・中央日報は、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報とその英字紙・グローバル・タイムズが9日、「韓国が独立的で自主的な外交を堅持すれば自然に尊重を受けられる」と社説で論評したと伝えた。

中央日報によると、社説は「中国社会は韓国の独立的で自主的な外交と中国に対する合理性、特に日本と克明に対照的な合理性を見せたものと見なす」と評価。

また、米国主導の半導体供給網の枠組み「チップ4」への韓国の加入問題に関し、社説は、「韓国がやむをえず米国が作る小グループに合流しなければならないならば、韓国がバランスを取って修正する役割をすることを国際社会は期待する。これは韓国の独自の価値を体現することでもある」と注文を付けた。

「チップ4」とは次世代半導体の量産など、半導体のサプライチェーン(供給網)強化のため、米国、台湾、日本、韓国の4か国・地域で構成する構想だ。

その「チップ4」問題を抱え、ペロシ議長の帰国を見計らったかのように8日から3日間の日程で中国を訪問しているのが、朴振(ぱく・じん)外交部長官(外務大臣に相当)だ。

尹政権で初めて実現した訪中で朴氏は9日、山東省青島の即墨古城君蘭ホテルで中国の王毅外交担当国務委員兼外相と会談。会談の冒頭で、王氏は韓国が米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)と「チップ4」に加入したことに触れ、サプライチェーン再編の動きをけん制。「ウィンウィンな関係を堅持し、安定的で円滑なサプライチェーンと産業網を守護しなければならない」とし、「平等と尊重を堅持して内政に干渉してはならない」とくぎを刺した。

一方、朴氏は「今、朝鮮半島の平和と安定が過去に例をみないほど脅威を受けている」とし、「北朝鮮が挑発の代わりに対話を選択するよう、中国が建設的な役割を果たすことを願う」と伝えた。北朝鮮が7回目の核実験など重大挑発に踏み切らないよう、中国に協力を求めたものだ。

尹政権は米韓同盟の強化を目指す一方、最大の貿易相手国である中国との関係悪化を避けるため、米中対立のはざまでますます難しい立場に置かれている。

 


 


 


 

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