2022-08-02 政治・国際

ペロシ米下院議長の台湾入りは2日夜か 中国は「強力な対抗措置」と繰り返し警告

注目ポイント

台湾をめぐり米中関係の緊迫度が一気に高まっている。アジア歴訪を1日に開始したナンシー・ペロシ米下院議長(82)が、台湾への電撃訪問を強行するというのだ。台湾の複数のメディアや米CNNなどは同日、ペロシ氏が2日夜に台湾入りし、3日に蔡英文総統と会談すると伝えた。中国は同氏が訪台した場合、「必ずや強力な対抗措置をとる。軍も黙っていない」と改めて警告した。

ペロシ氏は台湾を訪問するかどうか公表しておらず、台湾政府もコメントを拒否している。中国側は激しく反発しており、台湾到着まで一切発表しないとみられる。訪台すれば現職下院議長としては1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりとなり、台湾情勢が一気に緊迫する恐れがある。

だが、複数の台湾メディアやCNNはペロシ氏が2日夜に台湾入りし、3日に蔡総統と会談すると報じている。台湾の蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長(首相)は1日、ペロシ氏訪台に関する報道陣の問いに、「全ての外国賓客の訪問を歓迎する」と述べるにとどめた。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は同日の定例会見で、ペロシ議長は大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ地位にあるとした上で、中国の度重なる反対にも応じず、国の一部と主張する台湾入りしたとすれば「とてつもない政治的悪影響」を及ぼすと同報道官は反発した。

趙報道官はまた、「われわれは米国に改めて伝えなければならない。中国は厳戒態勢を敷いており、軍も決して黙って見ていない」とし、強くけん制した。

台湾情勢をめぐっては、習近平国家主席がバイデン大統領と先月28日に電話会談し、中国外務省は、習主席が「火遊びをすれば必ずやけどをする」と警告したことを明らかにしていた。

ペロシ氏を代表とする米下院議員団は1日、最初の訪問先であるシンガポールに到着。リー・シェンロン首相と会談し、安定した米中関係の重要性などについて議論したという。ペロシ氏らはまた、現地の米軍兵士らと撮った写真に「国のために奉仕している愛国者たちに議会から感謝の意を伝えることができて光栄です」とのメッセージを付け、ツイッターに投稿した。

同議員団が7月31日に明らかにしたアジア歴訪日程によると、ペロシ氏らはシンガポールに続き、マレーシア、韓国、日本を訪れる。だが、台湾については記されておらず、訪台について言及はなかった。ただ、ペロシ氏はこれまで、「安全に関わる問題なので明らかにしない」と繰り返し、台湾が歴訪の焦点になっていた。

CNNは米政府高官の話として、米国防総省は台湾地域での中国の動きを常時監視し、ペロシ氏ら議員団の安全を確保していると伝えた。

米紙ワシントン・ポストは1日、ペロシ氏らの訪台がもたらす危険性について、米ブルッキングス研究所シニアフェロー、ライアン・ハス氏の見解を紹介。「中国、台湾、米国それぞれの主要プレーヤーは、互いに海峡の対岸からエスカレートする行動に直面しつつも、自国の利益を守るため、慎重に行動していると信じている」とした。ハス氏はまた、「当局者や専門家は、紛争がいつ勃発するかではなく、いつ発生する可能性があるかの予測にしのぎを削っている」と続けた。

一方、国営・中国国際問題研究所のある研究者は、「バイデン政権は、『中国を封じ込めるために台湾を利用する』というトランプ政権の戦略を継続している」とし、「台湾海峡で中国と米国が衝突する可能性が高まっている」と警告した。

そんな中、ワシントン・ポスト紙は先週末、「ペロシ氏の訪台をいかに中止または延期させるか」とする見出しで読者からの声を紹介した。

ある読者は、バイデン大統領はペロシ議長の訪台を止めさせる権限はないとした上で、ペロシ氏ら議員団は軍用機で台湾入りするとみられることから、軍のトップである大統領が軍用機の使用を禁止すれば済むことだと指摘。中国では秋に中国共産党大会があるので、その後になれば情勢が変わり、訪台が容易になる可能性があるとした。

また、別の読者はペロシ議長の台湾訪問が多くの問題を引き起こすとし、米国の安全保障に何のメリットもないと主張。さらに、米国は国内外ですでに多くの問題を抱えており、中国と台湾でこれ以上問題を持って帰ってくる必要はないとし、ペロシ氏の行動に反対した。

英紙フィナンシャル・タイムズが7月18日にペロシ氏が「8月に台湾訪問を計画している」と報じて以降、注目を集めてきた。ペロシ氏は中国に対する強硬姿勢で知られ、天安門事件の2年後の1991年、天安門広場を訪れ、当局に殺害されたとされるデモ参加者を称賛する横断幕を掲げた過去もある。

 

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