2022-08-06 調査データ

コロナ禍の現状に対する実感

注目ポイント

6月中旬のコロナウイルスの新規陽性者数は、連日1.5万人/日程度に抑えられていたが、本調査が実施された7月5日-6日では、それぞれ3万6千、4万6千と増加傾向を示しており、再拡大が懸念されている。加えて、食料品などの物価高の流れを受け、国民の現在の認識、景況感、消費意欲は前回調査時点と比べどのような変化が見られるだろうか。 本レポートでは、現状に対する実感、コロナウイルスの深刻度、消費財に対する予算の変化について年代・カテゴリー別にアンケート調査を行い、コロナワクチンの接種状況にも注視した上、日本の一般消費者が現状をどのように感じているかについて考察した結果をまとめる。

この記事はEngagement labの許可を得て掲載しています,元記事のリンクはこちらです。


 

コロナ禍再拡大の兆し、物価高騰によりさらに厳しさを増す現状認識

過去1年間の日本の状況に関する実感では、半数以上の人が「悪化している」と認識しており、先月からさらに厳しさが増している。また、今後1年間の展望に関しても「悪化する」と予想する人の割合は48%と先月から3ポイント増となっている。コロナ禍の再拡大の兆しに加え、食料品などの物価高が今後の日常生活への懸念を高め、心情の悪化を生んでいると思われる。

 

コロナワクチンの接種状況

本調査時点で、コロナワクチンを3回以上接種した人は全体の63%となり、前月より1.4ptの微増となった。5月25日より、接種対象者(高齢者及び、基礎疾患を有する方)を限定して、4回目の接種が開始されているが、4回目の接種は現状、ほとんど進んでいない。

日本国民のコロナウィルスに対する警戒感は落ち着きを見せている

新型コロナウイルスの現状について、「非常に危険だ」と感じている人は、先月調査より3ポイント上昇し、今月調査では23%となった。また、「それほど深刻ではない」と感じている人も1ポイント減少し、16%となった。深刻度レベルは、本年2月より4カ月間にわたって減少を示してきたが、今月の調査では一転、その流れがストップとなった。

 

今後1か月の支出予算は全体を通して前月から大きな変化は見られず

今後1ヵ月間の消費支出予想では、13%が消費の増加、26%が消費の減少を想定しており、先月と比較して、消費の増加を想定している人の減少が目立った。年代別では、特に50-60歳の年代で消費意欲の減退が顕著にみられる。

商品カテゴリー別にみると、「旅行」や「外食/娯楽」は先月、増額を想定している人の増加を示していたが、今月調査では一転、ほぼ全ての年代で消費意欲が減退した結果となった。また、「一般家庭用品」への支出については、先月と同様、増額を想定している人が対前月比で減少となった。

 

まとめ

コロナウィルス新規陽性者数再拡大の兆しに加え、食料品やガソリンなどの高騰に関するニュースが連日のように報道されており、今後の日常生活に対する懸念の高まりが、人々の心情に影を落としている。そのため日本の一般消費者の現状に対する認識、消費支出予想ともに、全体を通して前月よりも後退が目立つ結果となった。

また本年2月より、4カ月連続して深刻度レベルの減少を示してきた深刻度アンケートにおいても、今月調査ではその流れが止まり、「非常に危険だ」と感じている人の割合も再び20%超えに転じた。なお3回以上ワクチンを接種した人は前月よりわずかに微増したが、4回目の接種は現状ほとんど進んでいない。こうした状況の中で、各種業界における事業の意思決定者には、日本の一般消費者の心情の変化を踏まえ、第7破のコロナ禍を見据えた事業計画の策定をしていくことが望まれる。

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