2022-07-29 ライフ

【この人に聞く!】漁業のため関東から東北へ移住 未活用資源を商品化したブランド「ura」の三浦尚子さん(2)

ライフスタイルブランド「ura」から発売された、ワカメの茎をアップサイクルしたシャンプーとコンディショナー。それぞれ税込み4,500円。

廃棄物を出さずに資源を循環させることが前提のサーキュラーエコノミー。大量生産が当たり前だった経済ではとにかく消費することが奨励されたが、限られた資源をムダなく活用することは自然の理にもかなっている。ワカメ生産者の三浦尚子さんは、自然や環境についてもっと考えるきっかけを作りたいと、ライフスタイルブランド「ura」を立ち上げた。本業は漁業。毎日、早朝から海に出かける日々だ。忙しい仕事と掛け持ちしながら三浦さんが目指すものとは? Part2では、ブランドのコンセプトや今後の展望などについて聞いた。

――大学卒業後、2014年に神奈川県相模原市から岩手県陸前高田市へ移住。現在も従業員としてカキなどの養殖作業に携わる一方、約2年前に開業して、自身でもワカメの養殖を始めた。独立に踏み切ったきっかけは何だったのか?

三浦 理由は二つある。開業してみたいという気持ちはあったが、できないだろうなとも思っていた。しかし、周りから「独立しないの?」とすごく聞かれ、応援してくれる声で、やりたいという気持ちが高まった。もう一つは、ワカメの漁場が空きタイミングが良かったから。このまま従業員として働いてスキルが上がっていくかというと、どうだろうと思っていた。独立することでスキルを上げたいと思った。

――ブランド「ura」を作ろうと思った理由は?

三浦 2年ぐらい前から、捨てている部分を活用できないか考え始めた。単純にもったいないと思った。使い道を思い付かないから捨てている。でも、視点を変えて見た時に違う価値になる可能性があるのではと。まずは、私が欲しいものを作りたかった。漁業の仕事を始めた時、あまり考えずに作業をしていた。でも、紫外線や潮風をすごく浴び、髪がガビガビに痛んだ。肌荒れもひどい。最初の半年ぐらいで「ちゃんとケアしてないとまずい」と感じた。そこからスキンケア・ヘアケアを気にするようになった。

最初はスキンケアクリームを考えていたが、シャンプーのサンプルを使った時に「これで作りたい!」と確信。ヘアケアにすることに。シャンプーとコンディショナーは、ワカメ(の茎)を使っているのがポイント。コンセプトは“春の海”。ワカメを収穫する時期が3月・4月の春ごろ。収穫時期の春の海が感じられるような香りになっている。また、収穫する早朝の4時・5時は、(空が)グラデーション(色)になって夜が明けていく。そのように、香りが少しずつ変わっていくようなイメージにしている。ベルガモットとシダーウッドは使いたいと思っていた。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい