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2022-07-29 政治・国際

米国のペロシ下院議長の台湾訪問見送りか 断固阻止の中国「軍事的対応の可能性」示唆

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

来月に検討されているナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問の雲行きがあやしくなってきた―。米メディアは今週、米国家安全保障担当の高官らが同議長に水面下で、「台湾と中国の間で緊張が高まっているこの時期での訪問がもたらす深刻なリスクについて説明をしている」と伝えた。一方、バイデン米大統領と習近平国家主席は28日、電話会談を行い、台湾問題をめぐって2時間半近く応酬を交わした。

ペロシ氏に近い関係者によると、同氏はアジア歴訪の一環として8月上旬に台湾を訪問する予定で、民主党の同僚のみならず、共和党議員も同行するよう呼び掛けている。ペロシ氏の訪問が実現すれば、25年前、同じく下院議長だったギングリッチ氏以来、米国を代表する現役政治家としては最高位となる。

ペロシ氏が務める下院議長は、もし大統領についで副大統領もその職務を遂行できなくなった場合、米国トップの職を継ぐことが定められている重要なポストだ。そのペロシ氏は民主党を代表する人権派で、これまでにダライ・ラマ14世と会談を行うなど、中国政府による人権侵害を批判。中国にとっては厄介な存在だ。

そんな中、バイデン大統領は先週、ペロシ氏の訪台の可能性について、「米軍は良い考えだとは思っていない」と発言。だが、現時点でペロシ氏が情報当局や国防当局の要請で訪台見送りを決めるかどうかは不明だ。

米中関係が緊迫する中、米国のバーンズ駐中国大使は先月、両国が国交正常化に道を開いた1972年のニクソン大統領の訪中以来、「最低」に悪化していると指摘。そんな緊張の緩和と「率直な意見を交わす」ため、バイデン米大統領は28日、中国の習近平国家主席と電話会談を行った。米中首脳の会談は3月以来。ホワイトハウスによると、会談は米東部時間午前8時半(日本時間28日午後9時半)から2時間17分間行われた。

ロイター通信は政府筋の話として、会談で両氏は台湾問題を巡って、「直接かつ正直に」議論の応酬が交わされたと伝えた。習氏は中国が台湾の独立と外部の干渉に断固反対するとし、「火遊びをすればやけどするだけだ」とけん制。「米国側がこの点を明確に理解することを願う」と述べたとされる。両者はまた、対面での会談の可能性についても議論した。

米中関係の専門家らは、バイデン氏が「ペロシ氏の訪台はない」と明言した場合、米国は弱腰で、中国の圧力に屈したと受け取られるとし、逆にペロシ氏が計画通り台湾を訪れ、中国が言葉通りの対抗手段を取らないと、「中国は口だけか」となると指摘。互いに譲れないチキンレースの様相を呈している。

米CNNによると、バイデン政権内部ではペロシ氏の訪台計画には深刻な懸念が示され、それは中国がここ数か月で台湾への姿勢を一段と強め、数回にわたり台湾が主張する防空識別圏に戦闘機を侵犯させるなど、より攻撃的になっているからだという。さらに、米政府高官は、これらの活動がこの先数か月で中国が台湾への権威を増大させる前兆だとの見方を示している。

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