2022-07-28 政治・国際

中国が進める独自の宇宙ステーション建設 その裏で世界はロケット残骸の落下に恐怖

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

中国は24日、同国が独自に建設を進める宇宙ステーション「天宮」の実験モジュール「問天」を打ち上げた。その問天は翌日、天宮のコアモジュール「天和」へのドッキングに成功し、中国の宇宙ステーションは完成に一歩近づいた。その一方、米航空宇宙局(NASA)は、今回の打ち上げによる残骸が大気圏突入後も燃え尽きず、誰も予想できない地球のどこかに落下すると警告し、中国を非難した。

米紙ワシントン・ポストは「中国のロケット発射による残骸が落下へ―ただ、どこに落ちるか誰にも分からない」との見出しで報道。中国が再びロケットの残骸落下の恐怖を世界中にもたらしたとしている。

問天モジュールを搭載した「長征5号B」ロケットは、中国南部・海南島の文昌衛星発射センターから北京時間24日午後2時22分に打ち上げられた。発射から8分15秒後、同ロケットのコアステージから切り離された問天は、天和コアモジュールとドッキングするため、搭載エンジンで軌道修正を開始。打ち上げから約13時間後、天和の前方に面したポートへの接続に成功した。

さらに7時間後、天和にドッキングしている有人宇宙船「神舟14号」の乗組員3人が、問天のハッチを開いて中に入った。問天は全長17・9メートル、直径4・2メートル、重量23トンで、中は作業区画など3区画から構成されている。中国は問天に加え、もう1基の実験モジュールを近い将来、追加することを計画している。

そんな中、問天を打ち上げた「長征5号B」は全長53・6メートルに重量837・5トンという巨大ロケットで、ワシントン・ポスト紙は、危険な設計により21トンもの重さのコアステージが切り離された後、地球の大気圏に再突入しても燃え尽きず、一部が地上に落下する可能性を指摘した。

実際、中国は昨年4月29日に同ロケットを打ち上げた際、その残骸が翌5月9日、モルディブ沖のインド洋に落下。また、その前年の20年5月にも同ロケットの打ち上げで、やはりコアステージが大気圏再突入後に燃え尽きず、長さ10メートルにもおよぶパイプ状の物体がアフリカ西部コートジボワールの民家の屋根に落ちたことが報告された。幸い死傷者はなかった。

そしてまた、今回も同様の問題が発生しているのだ。

NASAのビル・ネルソン長官は「中国がスペースデブリ(宇宙ゴミ)に関して責任ある基準を満たしていない」と非難する声明を発表。それに対して中国は、無責任との批判を意に介さずに無視している。昨年の「長征5号B」打ち上げの際、中国外務省は被害が出る確率は「極めて低い」と言い放った。

確かに中国の主張通り、残骸が被害をもたらす可能性は極めて低い。だが、今月号の英科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された記事によると、現状のままでは今後10年間で、制御不能のロケットが大気圏の再突入し、その残骸により死傷者が出る確率は10%という現実的な数字に跳ね上がるという。

実は、残骸が落下するにしても、海上などに確実に落下させる方法は存在し、技術的に難しいわけでもない。なぜ中国がそうした方法を採用しないのかは明かされていない。

米スミソニアン天体物理観測所・天体物理学センターの天文学者ジョナサン・マクドウェル氏は、24日の打ち上げを詳しく観測。今回、中国はロケットのコアステージを地球の軌道から外す設計を導入した可能性をツイートした。ところが翌日には、コアステージは「軌道上のままで、軌道から外す仕組みはない」とし、「残念なことに21トンものコアステージは低い軌道に置き去りにされ、制御不能になった状態で予測できない場所に再突入する」とつぶやいた。

米国に比べると技術的に遅れを取っている中国の宇宙飛行プログラムだが、過去10年で「天宮」宇宙ステーション打ち上げなど、着実に成長を続けている。それは習近平政権が〝宇宙覇権〟を本気で目指しているからだ。

だが同紙は、宇宙活動の急速な増加が、新たな宇宙開発競争の懸念を引き起こし、国家間の意思疎通の欠如により、地政学的に不安定化なリスクにつながっていると説明。NASAが中国政府との協力事業のため、政府の資金を使用することを禁止した11年の「ウルフ改正」以来、米中間の協力はほとんどなくなった。

その代わりに中国はロシアとの協力関係を拡大。中露は昨年、月に研究基地を共同で建設する計画を発表している。そのロシアは26日、日本や欧米などと共同で運用する国際宇宙ステーション(ISS)に関し、24年までの共同運用終了後の撤退を表明。ロシア国営宇宙企業ロスコスモスのボリソフ社長は、その頃までにはロシア独自の宇宙ステーションが展開されていると主張した。

 

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