注目ポイント
日本では23日、新型コロナウイルスの新規感染者が20万人を超えた。これまでで最も多かった前日の19万5000人を上回り、4日連続で過去最高を更新。26日も19万6000人を記録した。猛威を振るうオミクロン株の亜種BA.5により、ここ数日の日本の新規陽性者数は世界最多となっている。そんな中、米ブルームバーグはBA.5感染者が再感染する可能性について検証。一方、「ケンタウロス」と呼ばれる亜種の出現が新たな不安を呼んでいる。
米コロンビア大アービング医療センターの疫学研究者ジェシカ・ジャストマン氏は、新型コロナウイルスに感染した人について、「吉報はBA.5感染者が将来再感染する可能性はまずないこと」だとし、「誰も確実に保証はできないが、ほぼあり得ない」と付け加えた。
その理由についてジャストマン氏は、免疫システムがBA.5に対して正常反応し、同ウイルスを排除した場合、それ以降、全く同じウイルスへの曝露では免疫反応が起動し、ウイルスが体内に入って感染する前に撃退するからだと解説した。
だとしても、あるBA.5の系統と別のBA.5系統とのわずかな違いがあるとすれば、理論的には再び感染する可能性がありそうだが、実際はそうではなさそうだ。「BA.5に2回感染した報告は聞いたことがない」とジャストマン氏は指摘。「ただし、この亜種は米国では4月下旬に最初に報告されてから、まだ約3か月。それほど時間はたっていない」とも。
ブルームバーグは最新のカタールの研究を紹介。それによると、以前のオミクロン型(BA.1およびBA.2)に感染した人は、後の変異系統(BA.4およびBA.5)の感染に対し、80%近く保護されることが分かった。
ジャストマン氏は、「この研究報告はBA.5感染者が再びBA.5に感染するかという問いに答えたものではないが、人間の免疫システムが同じような変異系ウイルスに対して100%ではなくとも、高い保護力を形成することを示している」と説明した。
だが、極端に違う〝顔つき〟の変異株が新たに出現した場合は、また別の話になるかもしれない。そんな〝顔つき〟の変異種が「ケンタウロス」と呼ばれるオミクロン株の新たな亜種だ。
通称「ケンタウロス」はオミクロン株のBA.2.75と呼ばれる変異ウイルスで、急激に感染拡大しているという。
5月にインドで最初に確認されて以降、BA.5から置き換わっているという。日本でも東京、大阪、神戸で市中感染が確認されている。専門家によると、BA.5は、はしかとほぼ同じ感染力だが、ケンタウロスの感染力はその3倍という。
ケンタウロスはBA.2系統から変異した75番目の亜種。これまでBA.2系統の亜種は誕生しては消えていったが、その中でBA.2.75は生き残り、今、感染が急拡大している。過去の変異株と比べてあまりに異質であることから「半人半獣のケンタウロス」と専門家の間やSNSではそう表現されている。