今年は観測史上最速で梅雨明けが発表されました(関東甲信など全国各地)。まだセミの鳴かないタイミングから、真夏がフライングしてスタートしたようですが、暑くなると海や川などの水辺が恋しくなる方も多いのではないでしょうか。私自身30代なのですが、年齢を重ねるごとに海よりも川の方が心惹(ひ)かれるようになった気がします。緑豊かな川辺で過ごすひとときは、日差しも心なしか穏やかで、清涼感があります。
今回はそんな「涼」を感じながら温泉に入れる、渓流沿いの露天風呂が魅力の「二岐(ふたまた)温泉 大丸あすなろ荘」をご紹介します。
「大丸あすなろ荘」外観
二岐温泉は、福島県天栄村にある温泉。福島県南部に位置しているため、都内から車で3時間ほどと、アクセスは良好です。山深い渓谷沿いに点々と宿が立ち並ぶ静かな環境は、「秘湯」という言葉が似合います。実は「秘湯」という言葉は、この二岐温泉が発祥ともいわれており、今回ご紹介する「大丸あすなろ荘」は、旅館のご主人が「日本秘湯を守る会」の会長を長年務めていた宿です。
宿のお風呂は3カ所。男女別の大浴場(内湯、露天風呂)、混浴の岩風呂、男女別の渓流露天風呂があり、合計6本の豊富な源泉によって、すべて掛け流しになっています(そのほか露天風呂付き客室あり)。
源泉が岩盤から湧き出る足元湧出泉の「岩風呂」
温泉の鮮度重視なら岩風呂がおすすめです。薄暗い洞窟のような浴室は、大きなクレーターのような穴が開いた湯船が一つの独特の雰囲気。その湯船の底からプクプクとお湯が湧いています。これは「足元湧出泉」といわれ、空気に触れず酸化していないフレッシュな源泉を味わえるため、温泉の鮮度は抜群です。こちらは基本的に混浴のお風呂ですが、宿泊者向けに女性専用の時間帯も設けられています。
川の流れを間近に感じられる「渓流露天風呂」
大丸あすなろ荘のハイライトともいえるのが渓流露天風呂です。濃い緑と川の流れに溶け込むように作られた露天風呂は、とても気持ちいい空間です。少し手を伸ばせば川に手が届きそうなほどダイナミックで、聞こえるのは川の音と、風で葉がこすれる音だけ。こんな景色を眺めながらの湯あみは、いつしか大自然と一体化したような感覚を味わえます。夏の気だるさを一瞬で洗い流してくれそうな爽快感に、身も心も癒やされていました。
真夏の緑濃い景色も素晴らしいですが、秋は紅葉、冬は雪見の風景も楽しめるので、どの時季に訪れてもおすすめです。