2022-07-22 ライフ

中華圏の歌神ジャッキー・チュンのキュートな素顔! 連載「果てしない中華圏ポップスの魅力」

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

ワールドミュージックの評論家として活動している関谷元子さんが、中華圏のアーティストや音楽の魅力を紹介する新連載。初回は関谷さんが個人的にも親交の深いという“歌神”の素顔に迫ります。

中華圏の音楽を紹介して早30年以上、音楽評論をしています、関谷元子と申します。これから、中華圏のアーティスト・音楽の魅力をお伝えしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

今回は、日本人が中華圏でビジネスをする時に、この人の曲を覚えて行くとうまく進むと言われる中華圏のスーパースター、歌神と呼ばれる香港のジャッキー・チュン(張學友)をご紹介したい。歌手としては1985年デビュー、90年代になってから他の3人の男性スターと共に「四大天王」と言われ、今でも絶大な人気を博している。

今のところ最新のコンサートツアーは、1回の公演が3時間半、途中にはミュージカルも行なわれる豪華なショウで、2016年から2年半もかけて合計233公演行われた。

口パクなどしないから、ツアー中はどんどん痩せていくんだとジャッキー。ちなみに、以前のツアー中、中国でのコンサートで監視カメラを会場に置いたら100人の逃亡犯が捕まり、「歌神」ならぬ「捕神」と言われたこともある。犯人にとってはリスクを抱えても観たい歌神のショウというところだろう。

ジャッキーがデビューした頃は香港に多くのスターが出てきたのに作曲家が少ない、ということで、日本の曲が多くカヴァーされた。ジャッキーの「毎天愛你多一些」「李香蘭」は、前者がサザンオールスターズの「真夏の果実」のカヴァーで後者が玉置浩二の「行かないで」のカヴァー、中華圏の人なら誰でも知っている曲だ。当時香港に行った時、ホテルのラウンジで「真夏の果実」のピアノ演奏が聴こえたので「これ日本の曲よ」と言ったらホテルのスタッフに「いえいえ、ジャッキーの曲です」と言われたことがある。半年間にわたってチャートインしたというほどのスーパーヒットだった。

ジャッキーとは、90年代半ばから友人として親しくさせてもらっているので、ここからは、彼のキュートな素顔が見えるエピソードをお話ししよう。

以前音楽祭で来日した時、空き時間にラーメンを食べたいと言われ、会場近くの店に行った。ラーメンについては本が書けると豪語していたジャッキーだけにこだわりの食べ方があった。どうも替え玉をするらしく、「僕が今の麺を食べ終わる直前に替え玉が来るようにお願いしてね」と言う。店員さんにお願いしたらベストなタイミングで次の麺が来た。ジャッキーは食べながら全くその動作を止めずに上手に替え玉を入れて、時間が空かないようにすすっていた。絶妙な技(笑)。こだわりの人(笑)。

また、香港に行った時だ。ホテルまで車で迎えに来てくれたのだが、香港は一方通行が多いのでそのレーンから出るのを忘れてまた同じ所をぐるっと回ってしまい(それも2回)、本人汗を浮かべ「あれ? どうして出られないんだ?」とつぶやく。はい、彼は香港生まれ香港育ちです(笑)。

というように、何億もの人を魅了する圧倒的なヴォーカルを披露する歌神ジャッキー、普段はとても人間くさいのである。でも、だからこそ大衆の歌手、ポップ・シンガーでいられるのだと思う。

© Photo Credit: Reuters /達志影像

香港スターは演技もする。ジャッキーは狂気を感じる役が特に良く、香港映画のアカデミー賞=電影金像奨でも何度か受賞している。もし1作と言われたら、1990年公開のジョン・ウー(呉宇森)監督の作品「ワイルド・ブリット(喋血街頭)」をお勧めする。

さて、この記事では、私が実際に会ったり話したりした中華圏のアーティストのエピソードを交えながら、その素晴らしさをお伝えできればと思う。中華圏のポップスで私が最初に興味を持ったのは台湾だったので、台湾ポップスについてもたくさんお話ししたいことがある。しかし、実は、今年8月に幕張で行われるサマーソニックに、香港のポップスシーンをひっくり返した存在、社会現象ともいえるボーイズアイドルグループが来るのだ! もしかしたら話が聞けるかもしれない。さて、次も香港になるか。いや、あの台湾のスターも来日するので会う可能性が……。と今からワクワクしながら待っているのである。乞うご期待!

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