2022-07-21 政治・国際

ペロシ米下院議長の台湾訪問を中国がけん制 実現なら北京は「断固たる強力な措置」講じる

© Photo Credit: AP / 達志影像 Nancy Pelosi

注目ポイント

中国外務省は19日、報道されているように、もしナンシー・ペロシ米下院議長(82)が台湾訪問を実行した場合、中国は「断固たる強力な措置」を講じると米国をけん制した。米メディアは、「中国政府が不満を示す時、軍事挑発に出るのが常とう手段」だと指摘している。

ペロシ氏は8月に台湾訪問を再調整していると報じられた。もともとは4月に予定されていたが、同氏が新型コロナウイルスに感染したため延期された。実現すれば、25年前、同じく下院議長だったギングリッチ氏の台湾訪問以来、米国を代表する現役政治家としては最高位となる。

これまで通り、中国は必要ならば台湾を強制的に併合することを公言しており、台湾領空近くに軍用機を飛ばし、侵略シナリオに基づいて軍事演習を行うことで威嚇。中国当局はこれらの行動について、台湾による独立宣言や、外国の同盟国(主に米国)が軍事支援のために派兵するような事態を抑止することを目的としていると主張している。

そのため、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は19日の定例会見で、ペロシ氏の台湾訪問は、「中国の主権と領土の保全を著しく損ない、中米の基盤に深刻な影響を与える」とけん制。「米国があえて間違った道を突き進んだ場合、中国はその主権と領土を保護するために断固たる強力な措置を講じるだろう」と語気を強めた。

これに対し、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、ペロシ氏の台湾訪問の計画についてコメントを控えた。同報道官は、台湾に対する米国の支持は「堅実」であり続け、中国政府による「一つの中国」政策は認めるが、台湾との非公式な関係と防衛関係は続けるとする、これまで通りの米国の姿勢を繰り返した。

米CNBCによると、中国は最近、米国の台湾への兵器売却計画をめぐる発言の機会を増やし、その中で約1億800万ドル(約149億円)相当の取り引きの中止を要求している。この武器パッケージにより、台湾は「相当強力な兵力の侵略にも耐え得る可能性が高まる」というのだ。一方の中国は世界最大の即応部隊を持ち、より洗練された海軍と、長さ180キロの台湾海峡に向けたミサイルの膨大な数の在庫があるとCNBCは指摘する。

中国国防省は19日、「中国人民解放軍は〝台湾独立〟という策略を推し進める外部勢力や分離独立派による、いかなる形態の干渉も断固として阻止する」とする声明を同省ウェブサイトで発表した。

一方、米国は有事の際、台湾を守るかどうかについては表向き、「戦略的曖昧さ」の方針を維持している。ただ、米国の台湾関係法は、台湾が自己防衛のために必要な手段を確保しなければならないとし、そのような安全保障への脅威を「重大な懸念」と見なしている。

中国外務省の趙報道官は、もしペロシ氏が台湾を訪問した場合、中国政府がとる対応についての詳細は明らかにしなかったが、CNBCは中国政府が不満を示す時、軍用機の発進など軍事挑発を行うことは常とう手段だと指摘した。

中国はまた、中国沿岸沖の国際空域で活動している米国やその同盟国の観測機に攻撃的な行動をとったり、南シナ海を航行する外国の軍艦にレーザーを照射するなど、挑発的行為を繰り返したとして国際的な批判を受けている。

CNBCによると、台湾に対する最も深刻な脅威は1995年~96年、当時の李登輝総統の米国訪問をめぐり、中国は台湾の南北の海域にミサイルを撃ち込むなど、軍事的脅迫を行った。来月のペロシ氏の訪問が実現すれば、今回はどういう行動に出るのか、注視される。


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