注目ポイント
西ヨーロッパ各地を襲っている熱波。ポルトガルとスペインでは、連日40度を超える猛烈な暑さにより、先週からの死者は1000人を超えた。英国では18日~19日に同国の観測史上初となる最高気温41度に達するおそれが出ている。また、フランス南部で発生した大規模な森林火災により1万6000人以上が避難し、地中海を臨むスペインやクロアチア、ギリシャなどでも同様の火災が報告されている。
欧州の通信社BNOニュースによると、17日時点で熱中症による死者は、ポルトガルとスペインで合計1000人を超え、西ヨーロッパでの熱波が今後も続くと予想されることから、犠牲者はさらに増えるとみられている。
多くの死者は14日の最高気温47度を記録したポルトガルで報告されている。強烈な熱波はスペインやアンドラ公国、フランスなど南欧にも拡大し、大規模な山火事が発生している。
ポルトガルの保健当局によると、過去1週間で659人が熱中症により死亡し、うち440人は14日に集中。一方、スペインの保健当局によると、368人が同期間中に熱中症の犠牲となった。両国の死者は合計1027人。
スペインの地元紙によると、亡くなった1人、60歳男性は道路清掃員で、15日午後にマドリードで仕事中に倒れた。駆け付けた救急隊員によると、男性の体温は41・6度だった。男性は翌日死亡した。
今後も熱波が西ヨーロッパを覆う中、危険な暑さを示す「レッドアラート」警報はフランス西部の各地で発令され、18日には最高気温44度の予想が出された。英国の気象庁は18日~19日にかけて、同国の観測史上最高となる41度に達する可能性があるとし、事実上の「国家非常事態宣言」となる「レッドアラート」を発令した。
夏も比較的涼しい英国では冷房設備がない家庭が多く、気象庁は「健康に危険な影響を及ぼす可能性がある」と警戒を呼びかけた。英BBCによると、英国の過去最高気温は2019年7月に南部ケンブリッジで観測された38・7度。
一方、ボルドーで知られるフランス南西部の観光地ジロンド県では大規模な森林火災が拡大し、約1万1000ヘクタールが焼失。同県のキャンプ場では客を避難させた後、スタッフ全員が退去。火は勢いを増し、同県ラ・テスト・ド・ビュック=ランディラ地域まで拡大している。
スペイン南部マハス地区でも山火事のため、住民3200人が一時避難した。同地区は同国の人気観光地マラガに近い。あるマラガの住民はロイター通信に、「私たちは身の回りの物だけを持って逃げた。外に出たら他の人たちも家を飛び出し、消防車や救急車が走っていた」と語った。
スペインでは北西部カスティーリャ・イ・レオン、同ガリシア州や中部エストレマドゥーラ州など各地で森林火災が発生している。
BBCによると、地中海は西のモロッコから東のギリシャ南部クレタ島まで、数千人の消防士が動員され、多くの航空機が空中散水する消火活動が継続している。AFP通信によると、クレタ島でも森林火災により、一部地域で住民の避難が続いている。クロアチアでは、バカンス客でにぎわうアドリア海の観光地の近郊まで火が迫った。