2022-07-14 政治・国際

新型コロナウイルス再び世界的に感染急拡大 ロックダウンで封じ込めの中国でも増加傾向

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

日本でも今月に入り新型コロナウイルスの新規感染者が急増し、第7波に突入。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は今週の記者会見で、世界各地で再拡大している新型コロナウイルス感染について、「収束からは程遠い」と厳しい見通しを示した。2020年1月末に発令された緊急事態宣言の解除のめどは立っていない。

新型コロナウイルス感染症の政府対策分科会の尾身茂会長は今週、最近の感染者増加について、「新しい波に入ったのは間違いない」と述べ、流行「第7波」との認識を示した。まん延防止等重点措置などの行動制限については今のところ必要ないとしている。

尾身氏は直近の増加について、感染が広がりやすいとされるオミクロン株の亜種「BA・5」への置き換わりが進んでいることなどが原因と考えられると指摘。その上で「感染リスクが高い場面はこれまでと変わらない。できることをやれば行動制限は今の段階では必要ないと(首相に)申し上げた」と述べた。

日本国内では13日、新たに9万4496人の感染者が確認された。感染者が9万人を超えるのは5か月ぶり。都道府県別の感染者は、東京1万6878人、大阪1万452人などとなった。同日の全国の死者は31人だった。

また、東京都医師会の猪口副会長は12日の定例会見で、これまでの増加比で逆算すると、都内の1日の感染者数が、「今月19日時点で、およそ3万人になる」との試算を示した。さらに、約2週間後の今月25日には、10万人を超える恐れがあるとし、「(入院患者を)絞り込んでみていくようにしないと、多分、東京は乗り切れない」などと強い危機感をあらわにした。

だが、この傾向は日本だけに限ったものではない。

WHOのテドロス氏は会見で、「『BA・4』『BA・5』といったオミクロン株の亜種が世界中で広がり、入院患者や死者を出し続けている」と指摘。感染防止に向け「各国政府はマスク着用をはじめ、効果が立証されている対策を講じるべきだ」と強調した。

20年初頭から始まったコロナ感染で、世界最大の死者100万人以上を出している米国では12日、ホワイトハウスが50歳以上の全ての国民に対してワクチン接種を勧告した。「もし22年にまだワクチン接種をしていなければ、今すぐ接種して下さい」とホワイトハウスの新型コロナウイルス担当調整官は緊急勧告を発した。

米医療専門ニュースサイト「カイザー・ヘルス・ニュース」の編集長で感染症専門医のセリーヌ・ガウンダー氏によると、これまでは新型コロナウイルスに感染した場合、免疫により90日間は再感染しないとされてきた。ところが今は、「新型コロナウイルスは、ものすごく素早く、急速に変異している」とした上で、「環境は一変した。体内の免疫は今回の感染の波との闘いに苦戦している。すでに入院患者も増加している。ただ、ICU(集中治療室)での治療が必要な患者はほとんどいない」とした。

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