注目ポイント
産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は、これは1972年に日本と台湾の国交が断絶して以来、50年間で最も重要な外交的突破であり、中国からの激しい抗議を引き起こすに違いないと話している。
安倍晋三元首相が8日、選挙遊説中に銃撃され死亡し、世界中に衝撃を与えた。 安倍氏の葬儀は12日に執り行われた。台湾では日本台湾交流協会(大使館のようなところ)にて祭壇が設置され、蔡英文総統が弔問した。そんな中、頼清徳副総統が来日したとの情報が流れた。頼氏が駐日大使謝長廷と共に安倍氏の家に入る場面を日本のメディアが捕えたのだ。これは台湾が日本との国交を断絶して以来、50年ぶりの最高位の日本訪問である。
頼氏は静かに日本へ弔問、総統府「私的な立場で」
総統府によると、頼氏は安倍氏とそのご家族と長年にわたり親交があった。安倍氏の痛ましい死を深く悼むとともに、日台関係への多大な貢献に深く感謝している。 1972年の国交断絶後、台湾政府高官の訪日としては最高位であった。 日本側は訪問の事実を確認しているが、頼氏は私的な立場で訪問していると指摘した。
民進党の郭国文議員は、蔡総統の決断は賢明かつ先見の明があり、安倍氏への敬意だけでなく、外交上の突破口も示していると指摘した。頼氏は全てのスケジュールを取り消し、来日し感謝の意を表している、とコメントしている。
民進党の林俊憲議員は、安倍氏は歴史の中で最も台湾を支持して下さった日本の首相であり、国際的にも高く評価されている。日台関係は親密で、副総統が日本を訪れ、深い哀悼の意を表したのも、安倍氏への高い敬意の現れ。蔡総統が頼副総統を派遣したのも台湾にとってどれだけ重視しているのかを表している、とコメントした。
外交部(外務省)の欧江安氏は蔡総統、蘇貞昌行政院長、吳釗燮外交部長が日本の台湾交流協会台北事務所を訪れ、台湾の哀悼の意を表したと述べた。 外交部は頼氏の私的な訪日について、現時点では詳しい情報やコメントを控えている。
矢板明夫氏「岸田総理は台湾を支持し続ける」
矢板氏は自身のフェイスブックで、日本と台湾は正式な国交がなく、台湾の総統、副総統、行政院長、外相は原則として日本を訪問することができない。 当初、頼副総統は11日に台北の日本台湾交流協会を訪れ、弔問する予定だったという。 しかし突然、東京の街に現れたということは、日本政府が頼氏に訪日ビザを与えることを決定したということになる。
矢板氏によれば、1972年の日台国交断絶以来、50年間で最も重要な外交的突破であり、中国からの猛反発を招くに違いないとのことである。 しかし、10日の参議院選挙で自民党が大勝し、政権を安泰にした。 そこで、中国の抗議を恐れず、頼氏にビザを発給した。 これは、岸田文雄首相が安倍氏の台湾を支援する姿勢を受け継いだだけでなく、大きな一歩を踏み出したことを意味する。