2022-07-15 ライフ

日本と台湾を結ぶメディア編集長、田中伶さんが愛してやまない台湾とは【日台インフルエンサーから見る台湾-Vol.1】

注目ポイント

日台インフルエンサーにインタビューするThe News Lens Japanの連載企画。台湾好きのための情報を発信するウェブメディア「Howto Taiwan」の編集長であり、日本国内でできる台湾体験を紹介した『おでかけ台湾 in 東京・京阪神』(朝日新聞出版)の取材、執筆にも携わった田中伶さん。田中さんの視点から見た台湾や、彼女の原点にせまった。

 

コロナ禍に直面し、あたらめて見つめ直したこと

メディアを立ち上げて4年が経ったころ、新型コロナウイルスの影響で日台の往来が不可能になり、台湾への取材が困難となった。田中さんも自身のメディアを今後どのようにするべきか真剣に悩んだという。一緒に立ち上げた友人とは何度も議論を繰り返し、そこでふと彼女が言った「私たちのしたいことは情報発信ではなく、台湾が好きな人たちが繋がれる場を作ることだよね」という言葉が、改めて自分達の原点を見つめ直すことになったのだと語ってくれた。

まず始めに取り組んだのは、台湾好きが集まるオンラインイベントの開催。150人分のチケットはあっという間に完売し、Howto Taiwanには再び活気が戻った。「大切にしていることは、一台湾好きである私たち自身が楽しむこと」と、田中さん自らの原点と向き合い、IT企業のPRや書籍の出版で培った経験をフルに活かしながら、自らの様々な引き出しを自由自在に駆使していったのだ。

 

『おでかけ台湾 in 東京•京阪神』に込めた思い

コロナ禍という閉塞感に満ちた世の中にあっても田中さんの挑戦は止まらない。「台湾に旅行にいけなくなった台湾好きの人のための情報発信を」という思いで制作に取り組み、2022年4月20日に朝日新聞出版から刊行した書籍『おでかけ台湾 in 東京•京阪神』には、東京近郊•京阪神にある約150件の台湾レストラン、カフェ、雑貨店など、日本にいながらにして台湾を感じられるスポットの情報を盛り込んだ。

単なる店舗情報だけではなく、店舗の歴史や店主のストーリーも丹念に描き、読み物としても楽しむことのできる台湾好きにとってはたまらない一冊になっている。取材時のエピソードとして、田中さんは西新宿にある麺線店「佐記麺線」のことを話してくれた。「麺線は台湾人の国民性そのものだと思える」と熱く語ってくれた店主は、もともと航空会社に勤務されていたが、台湾の麺線の魅力を知って、開業。麺線一筋に8年間も一人で店を切り盛りしてきたのだという。そんな「人」の思いにまで丁寧に触れているのは、台湾をこよなく愛する田中さんだからこそ。人を楽しませる以前に、「自らがもっともっと台湾を楽しみたい」という田中さんの思いが、インタビューを通じてひしひしと伝わってくる。これからももっと私たちをワクワクさせてくれる、次なる田中さんのチャレンジが楽しみでたまらない。

『おでかけ台湾 in 東京•京阪神』(朝日新聞出版)


<田中 伶 Profile>

ディープな台湾情報を発信するウェブメディア「Howto Taiwan」編集長。さらにAmazon旅行著書部門で1位を獲得した「おでかけ台湾」の著者。台湾への交換留学をきっかけに台湾に興味を持つようになる。著書『FAMILY TAIWAN TRIP #子連れ台湾』(地球の歩き方BOOKS)、取材・執筆『妄想Trip! #おうち台湾』『おでかけ台湾 in 東京・京阪神』(朝日新聞出版)

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