注目ポイント
日台インフルエンサーにインタビューするThe News Lens Japanの連載企画。台湾好きのための情報を発信するウェブメディア「Howto Taiwan」の編集長であり、日本国内でできる台湾体験を紹介した『おでかけ台湾 in 東京・京阪神』(朝日新聞出版)の取材、執筆にも携わった田中伶さん。田中さんの視点から見た台湾や、彼女の原点にせまった。
衝撃だらけの台湾との出会い
「大学時代に交換留学生として訪れたのが、台湾を知る最初のきっかけでした」と語る田中さんの台湾体験は驚きの連続だったようだ。オリエンテーションで弁当と一緒に出されたお茶の甘さに衝撃を受けたことに始まり、現地で体験すること全てが想像を超えるものばかりだったという。
「週末になったら一緒に私の実家においでよ」と、一緒に寮生活をする、出会ってまだ間もない現地の学生から思いがけない誘いを受けたり、同窓会に参加させてもらったりと、日本では感じられない人と人の関係の近さや情に溢れた台湾人の国民性にグイグイと惹かれていった。当時の仲間はなかなか会えなくなった今でも「大切な友達」と、目を細めながら語る。
田中さんは、良い意味で周りの目を気にしない、台湾人の自由な国民性にも大いに刺激を受けた。日本にいると、何か新しいチャレンジをする時や、普通とは違った道に進もうとすると、周囲から必要以上に心配されたり色眼鏡で見られたり、どうしても周りの目が気になってしまうものだが、田中さんが知り合った台湾の人たちは全く違ったと振り返る。
友人の中には「ドリンクスタンドを始めて失敗したけど、へっちゃらだよ。また働けばいいのさ」とあっけらかんと語る"強者"がいたり、「私が結婚しないことを親は心配してる、だけどこれは私の人生だから」とサラッと言ってのける友人も。のびのびと、ありのままに自由に生きる同世代の台湾の友人たちは、今でも田中さんにとっての大切なエネルギー源。「多くの人が言うように、台湾の素晴らしさは人にあります」という田中さんの実感は、そんな大切な友人たちとの出会いに支えられているのだろう。
台湾と日本を結ぶメディア「Howto Taiwan」の創設
台湾への思い入れが強くなっていった田中さんは、2016年、小籠包やマッサージ、変身写真など、昔ながらのイメージが強く残っていた当時の台湾情報に疑問を感じ、「台湾が好きで、2回、3回と旅行をする、本当に台湾が好きな人に向けたディープな情報発信ができないか」と考え、同世代の台湾好きな友人と共に「Howto Taiwan」を立ち上げた。
以前スタートアップ企業でPRや広報の仕事をしていた経験も、内容を構成する上で大いに役に立ったというが、「Howto Taiwan」は、瞬く間に一つのポジションを築いていく。「まさにこういう台湾情報が欲しかった!」と、特に同世代の台湾好きからの反響が大きかった。市場を理解し、ニーズに応えるものを創造していくことは並大抵のことではない。「Howto Taiwan」が瞬く間に一つのポジションを築いていった躍進の裏には、運営チームの発想力はもちろん、留学時代から育まれた台湾への愛情や熱い思いが確実にある。