2022-07-11 政治・国際

世界に衝撃と悲嘆もたらした安倍元首相の死 蔡総統は「台湾へ多くの支援と配慮」に感謝

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参院選を2日後に控えた8日、自民党候補の応援のため奈良市を訪れていた安倍晋三元首相(67)が近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、凶弾に倒れた。首相としての在任期間は通算8年8か月という憲政史上最長を記録し、国際舞台でも確かな足跡を残した安部氏の死は、日本だけにとどまらず世界にも大きな衝撃と悲嘆をもたらした。

安倍氏の長きにわたる積極的な平和外交の積み重ねの証として、西側だけではなく、中近東やアジア諸国、南米など、多くの国のリーダーらが安倍氏の死を悼んだ。親交の深かったインドのモディ首相は安倍氏が亡くなった翌日の9日を国として喪に服す日と定め、ブラジルのボルソナロ大統領は3日間喪に服すことを宣言した。

16年に訪英した際、安倍夫妻が面会したエリザベス英女王は、「突然の痛ましい訃報に深く悲しんでいます」とツイート。「突然の痛ましい訃報に深く悲しんでいます。彼の日本への愛、そして英国との絆を一層深めたいとの思いは明確でした」とその死を悼んだ。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「安倍元総理の暗殺という恐ろしいニュースを知った。この困難な時に、ご家族と日本の人びとに心よりお見舞い申し上げます。この凶悪な暴力行為はどんな言い訳も通用しない」とツイートした。

一方、首相在任中には27回も会談したロシアのプーチン大統領は安倍氏の母親・洋子さんと妻・昭恵さん宛てに弔電を送ったことを大統領府が明らかにした。プーチン氏は「犯罪者により、長年にわたって日本政府を率い、日露関係の発展に尽くした卓越した政治家の命が奪われた。私は晋三と定期的に接触するなかで、彼の素晴らしい性格とプロとしての仕事の質が発揮されるのを目にしてきた。この素晴らしい人物と素晴らしい記憶は彼を知る全ての人びとの心に残るだろう」と故人を称えた。

安倍氏が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想と対立してきた中国の習近平国家主席も岸田首相に弔電を送り、「痛惜の念に堪えない」とし、「中国政府と人民を代表し、安倍元総理が突然の不幸に遭い、この世を去ったことに深く哀悼の意を表し、ご遺族にお悔やみを申し上げる」と弔意を記した。

ワシントン・ポスト紙は、安倍氏が右翼とみなされることはあっても、戦前の日本に戻すことを密に望む〝暗号ファシスト〟ではなかったと指摘し、「21世紀に日本がかつてないほど世界への扉を開くことを含め、自国が安全で豊かになるために必要なことは全てやると考える、先見の明のある政治家だった」とたたえた。

 

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