2022-07-07 観光

静寂に包まれた夜と早朝に町の醍醐味が…日本人にも大人気観光地「九份」の民宿4選

© 古家萱

注目ポイント

誰もいない夜と早朝の時間帯が最も美しい町――。そんな台湾・九份の4つの民宿を紹介する。観光地として日本人にも人気があり、日中はとても賑やかな九份だが、深夜から早朝にかけて静寂と閑散に包まれた町並みが現れ、とても美しく感じられる。

 

爽やかな休日の午後、山間の町の高低差のある路地を歩きながら、草仔粿(ヨモギ餅のようなスイーツ)食べ歩きしたり、この小さな町に残された時間の痕跡を数えながら、一歩一歩進んででいくのもいいかもしれない。 丘の上の校門に到着し、今まで歩いてきた曲がりくねった道を振り返ると、雨の降らない町の寂しさは九份にはなく、ゆっくりと海に沈んでいく遠くの夕日が、醤油が混じったオレンジ色の卵黄のように見えることに気づかされる。

30分ほど経った頃、夕日が完全に海面に飲み込まれると、店の前に吊るされた赤提灯に明かりが灯り、海上の漁火が揺らめき始め、まだ二人、三人とたむろしている人だかりも、海の潮流のように明るい街路へと退散し、にぎやかな山里も再び静寂を取り戻すのだ。

しかし、誰もいない静かな深夜や早朝にこそ、この町が最も美しくなることを、誰も知らない。 夜の山里をゆっくり楽しみたい方のために、独り占めできて、行ってみたくなるような民宿を厳選しまとめてみた。


#01:蜜多山旅

© 蜜多山旅

ヤブやシダの生い茂る小道を抜け、苔(こけ)むした階段を上る。少し大変かもしれないが、そこの重い扉を開け、大きな緑の室内バルコニーに迎えられた瞬間、苦労してきた甲斐があった、と感じるに違いない。

母屋に入ると、テーブル、イス、ランプ、そして書き物や読書をするのための古い木のテーブルが置かれた広々としたリビングルームが迎えてくれる。 長いダイニングテーブルの上には枝が置かれ、静寂な空間を演出している。石壁はモダンな家具と強いコントラストを成しているが、違和感を与えることはない。

© 蜜多山旅

夕食のための簡易キッチン、夜中に話に花を咲かせるためのテラス、ゆったりと入浴できるバスルームなど、まるでアーティストが山で過ごすプライベートな隠れ家のような空間だ。 昼間の疲れを洗い流し、眠りにつくまで遮るもののない山の時間を楽しみ、ロフトの寝室に上がれば、明日の朝、窓から降り注ぐ優しい日差しを浴びながら目を覚ますことができる。(住所:未公開、予約後に通知)


 

#02: OwlStay:山中夢遊 綠光

© 古家萱

1986年に公開されたフランス映画「緑の光線」をご覧になっただろうか? 幸運にもこの映画を見ることができた人は「自分自身や他人の感情を洞察することができる」と映画の中で言われている。 物語とヒロインが緑の光線を探すストーリーに影響を受けたB&Bのオーナーは、「夾腳拖的家(通称:スリッパの家)」と組み、かつて家族とシェアしていた家を、幸せを象徴する私邸「緑の光線」に生まれ変わらせたのだ。

緑の光線は、グレー、ホワイト、グリーンを基調としたインテリアだが、それだけにとどまらず、カラースペースにおけるグリーンの位置(135度)を特定し、この不思議な角度を照明やシーティング、階段の手すりなどに取り入れることで、ひとつの要素として表現している。

2階建ての「緑の光線」には3つの部屋があり、それぞれの部屋に展望風呂が付いている。 最上階のテラスにある小さな扉から入ると、オーナーの息子さんの絵が飾られた廊下があり、アバンギャルドなスタイルが新鮮な空間に配置され、モダンなギャラリーのような錯覚を覚える。

© OwlStay 故事所

さらにホールを進むと、豪華なシービュールームの1階に到着。明るく広々としたキッチンとダイニングスペースがあり、友人とくつろいだりおしゃべりしたりすることができる。 部屋の反対側には、快適なダブルベッド、山間の町や海、基隆島が見える大きな窓、そして半屋外のスペースにある素敵なタイル張りのバスタブがあった。

ゆったりとした午後のひととき、温かいお茶を入れて窓際のソファに寝転び、光のゆらぎによって変化する景色を眺めていると、本当に幸せの緑の光に出会えるような気がしてくる。(住所:新北市瑞芳區輕便路320號)


#03:數樹・私房 shu shu

© 數樹 私房

森の奥へと続く階段を下りていくと、木陰の先にひっそりとたたずむ2階建ての古民家がある。「數樹・私房 shu shu」だ。 手を伸ばし、使い込まれた両開きの扉を開けると、ゆったりとしたリゾート感と控えめなオリエンタル要素を併せ持つ室内空間が目の前に広がる。

一見なんてことない外見だが、大きな窓が光と美しさを取り込み、ベッドにいても窓のかたわらの席でも、外の自然光を受けてゆったりとした時間の流れを体感することができる。

オーナーが世界中から集めた家具や古道具は、それぞれ異なるイメージを持ちながらも、同じ部屋にいても違和感がなく、むしろオーナーのセンスだけが際立つ静かでシンプルな気品を醸し出している。

© 數樹・私房 shu shu

2階のプライベートリビングも素晴らしいが、それ以上に注目すべきは1階のバスルーム。 床から天井までの2つの大きな窓からは緑が見渡せ、すぐ横には真鍮(しんちゅう)製のクラシカルなバスタブがあり、朝は木々の隙間から山や海をのぞきながら、洗面器でお湯をためてくつろぐことができる。(住所: 未公開、予約後に通知)


#04:記憶九份

© 記憶九份民宿

もし時間を巻き戻して真の九份を旅したくなったら、古い街並みの路地にひっそりとたたずむ「記憶九份」はいかがだろうか。 この民宿は、芸術家の欧陽氏と、いつも彼のそばで支えている范氏が経営している。ものづくりが好きなお二人は、家の中の家具やオブジェのほとんどを手作りしているのだ。

内部は、1階のパティオから陽光が差し込み、来客が自由に使える小さなキッチンがある。 2階に上がると、古い丸テーブルの上に長いベンチが2つ、その上に簡単なお茶を入れる道具が置いてあり、食器棚にはオーナーのコレクションである本やレコードがたくさんあり、隅々まで見て回りたい気持ちになる。 遊び疲れたら、片方は山、もう片方は海に面したおばあちゃんの家にしかないような伝統的な木のベッドで横になるのもいい。

© 記憶九份民宿

実はこの「記憶九份」、B&Bになる前はアトリエとカフェだったそう。この空間には 2人の理想の暮らしへの思いや変化、2人の暮らしと思い出が記録されている。そうやっていつでも訪れたくなるような、山の中の友人の家のような温かみのある場所が作り出されているのだ。(住所:新北市瑞芳區豎崎路8號)


 

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