注目ポイント
日本にもほかの国にもない、台湾ならではの居心地のよさとは? バックパッカーとして世界を旅し、この10年ほどは頻繁に台湾に通っているライター・編集者の神田桂一さんが綴ります。
突然だが、僕はお酒が飲めない。ビールをグラス一杯で顔が真っ赤になってしまって、何もする気がなくなってしまう。だから、仕事の打ち合わせなどは、もっぱら日中に喫茶店で行うことが多い。僕にとって、酒に寛大な日本は実に生きづらい国であった。将来は酒が禁じられているイスラム圏の中東の国かどっかに移住して暮らしたいとさえ思っていた。(ちなみに僕はヘビースモーカーで、喫煙にうるさい日本はダブルパンチで住みにくい。翻ってイスラム圏の諸国はタバコには寛大である)。
というふうに思っていたのだが、台湾に通い始めるようになって、台湾も、酒の弱い僕にとって、とても居心地のよい国であることがわかった。
台湾は、夜市が有名だが、夜市の飲食店では、だいたいお酒が置いていない。レストランでは、普通にお酒が置いてあるが、日本人のように、積極的にお酒を飲むというイメージがない。もともと、お酒とご飯を一緒に飲み食いするという習慣がないのだろうか。どちらにしても、僕としては非常に助かっている。
そして、僕はコンビニに売っている台湾ビールのマンゴー味が大好きなのだが、この果実シリーズは、とてもアルコール度数が低いのである。確か、2%くらいだったように想う。僕が飲んでも酔わないのだ。
タバコも、室内で吸うのが問題であって、外で吸うのは問題ないという雰囲気がある(台湾人の方々、間違っていたらすみません)。
そんなだから、とても過ごしていて居心地がいい。日本に帰りたくなくなる。最近は台北に、台湾産の珈琲豆を使ったバリスタのいる美味しい珈琲専門店もたくさんできたので、珈琲を飲みながら、一服して、英気を養ったら仕事や読書をする。それ以外に何が必要なのだろう。
お酒が幅を利かす日本から脱出する日も、そう遠くないかもしれない。日本が何かの拍子に変わったら、日本にいるかもしれないが、残念ながら、その様子は今のところなさそうだ。
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