注目ポイント
日本海周辺で緊張が高まっている。中国海軍とロシア海軍のフリゲート艦各1隻が4日、相次いで沖縄県・尖閣諸島沖の日本の領海の外側にある接続水域に入るなど、中露の挑発行動がエスカレート。そんな中、北朝鮮は「日米韓の協力が強化されれば、わが国の軍備を増強して対抗する」と警告し、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を継続すると明言した。
日本の防衛省によると、ロシア艦は4日午前7時5分ごろ尖閣諸島の魚釣島南西の接続水域に入り、同午前8時16分に接続水域を出た。その間、中国艦は午前7時44分から約6分間にわたり、同水域に入った。防衛省は、中国艦がロシア艦を監視するなど、何らかの対応をしていた可能性があるとみている。
防衛省は、このロシア艦が別のロシア艦2隻と付近の海域を航行していたが、台風4号による悪天候を回避するため、尖閣諸島周辺を航行していた可能性を指摘。中国艦がロシア艦を監視していた可能性もあるとしている。
接続水域とは沿岸国の領海に接している一定範囲の海域。外国船の取り締まりを目的として接続水域を設置することが国連海洋法条約により認められている。不審船などが接続水域内に入ってきた場合、領海に近づかないよう監視や警告するなど、国内の法令の違反を防止し、処罰するために規制を行うことができる。
そのため、日本政府は外交ルートを通じて中国側に抗議し、再発防止を求めた。木原誠二官房副長官は同日の会見で、「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土。わが国の領土領海領空を断固として守り抜く考えのもと毅然(きぜん)かつ冷静に対処する」と述べた。
一方、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は同日の会見で、日本政府の抗議について、「中国艦の活動は正当で合法だ。日本がとやかく言う権利はない」と反発。ロシア艦との連携を問う質問に対しては、「それは個人の解釈だろう」と答えるにとどまった。
東アジアでも緊張が高まる中、日韓の首脳が先月29日、スペイン・マドリードで行われたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席した際、米国のバイデン大統領と日本の岸田首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が三者首脳会談を開いた。これに北朝鮮が警戒感を強めているのだ。
英紙ガーディアンによると、バイデン氏は北朝鮮が核実験を再開するため、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を繰り返していることに「深い懸念」を示し、尹氏は北の核開発計画が進行する中、3か国間協力がより重要性を持つようになっていると強調。岸田氏は対ミサイル共同軍事訓練が北への抑止力としてより重要になると訴えた。
これに対して北朝鮮外務省報道官は3日の記者で、NATO首脳会議での日米韓首脳会談が北朝鮮への対決姿勢を強めたと主張。「米国とその支配下勢力の敵対行為によって招かれるあらゆる脅威」に対抗するため北朝鮮は「朝鮮半島と地域の平和と安全を保障するための自ら責任ある使命を果たしていく」とし、核実験とICBM発射などを中断することなく進めると宣言した。