2022-06-29 政治・国際

トルコが一転、北欧2国のNATO加盟支持 NATOはロシアの脅威受け即応兵力30万へ

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29日から2日間、スペイン・マドリードで行われるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議を控え、フィンランドとスウェーデンの加盟に反対の姿勢を示してきた長年の加盟国であるトルコが28日、一転して支持を表明した。一方、同機構のストルテンベルグ事務総長は、即時に対応できるNATOの兵力をこれまでの7倍以上にあたる30万人に増やすことを発表した。

プーチン露大統領によるウクライナ侵攻を受けて以降、ロシアと1300キロにおよぶ国境で接するフィンランドと、その隣に位置するスウェーデンはNATO加盟の意思を表明。新規加盟には全加盟国(30か国)の賛成が必要だが、トルコは自国がテロ組織とみなしている「クルド労働者党」(PKK)などをスウェーデンとフィンランドが支援しているとして、両国のNATO加盟に反対していた。

そんな中、北欧2国とトルコにNATO側を加えた4者会談が28日開かれ、仲介役を務めたストルテンベルグ事務総長が会談後の記者会見で、トルコが両国のNATO加盟に合意したことを明らかにした。同氏は、フィンランドとスウェーデンがトルコに科していた武器の輸出制限を解除することで合意したと説明。加えて、PKKなどについて、両国が支援をやめることなども約束したという。

米政府関係者は同日、バイデン大統領がトルコのエルドアン大統領に電話するなど、4者会談を前に自ら打開に乗り出していたと明かした。

AFP通信によると、トルコ大統領府は覚書について、「トルコは望んでいたものを手に入れた」と評価する声明を発表した。両国の具体的な加盟手続きはNATO首脳会議で話し合われる予定だ。

一方、ストルテンベルグ氏は今週初めの記者会見で、「冷戦後、最大規模のNATO改変」と位置付け、危機時に派遣する多国籍の即応部隊を30万人以上に増強する方針を明らかにした。現行の4万人を大幅に増やすことで、ロシアの脅威に対抗することが狙いだ。

米CNBCニュースによると、NATO首脳会議では加盟国の間で最重要とされる「戦略構想」の採択が予定されている。同構想は約10年ごとに見直され、NATO加盟国が共有する価値を再確認するもので、安全保障上の課題や将来の政治的および軍事的発展への指針として機能する。

ストルテンベルグ氏は、プーチン大統領のウクライナ侵攻を受け、ロシアを安全保障に対する「最も重要で直接的な脅威」という同盟の認識を繰り返した。「マドリードで開催されるNATOサミットは、新しい安全保障の現実のための新たな戦略構想を含む、多くの重要な決定により変革がもたらされる」と同氏は記者会見で述べた。

さらに同氏は、「われわれはNATOの即応部隊を見直し、臨戦態勢を整えた兵力を30万以上に増強する」とした上で、「これらの軍隊は自国の防衛軍と同時に展開し、地域の地形や施設に精通するようになり、どのような緊急事態にもスムーズかつ迅速に対応できるようになる」と強調した。

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