2022-06-27 政治・国際

ウクライナ東部の要衝セベロドネツク陥落 ロシアはG7サミットに合わせキーウも空爆

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Kyiv

注目ポイント

ウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツクがついに陥落した。ウクライナ軍の地域司令部が24日、セベロドネツクに残っていた最後の部隊に撤退命令を出したと明らかにしていた。これによりロシア軍は、ルハンスク州をほぼ完全に制圧したことになる。ロシアはまた、ドイツ・エルマウで26日に始まったG7サミット(主要7か国首脳会議)に合わせ、ウクライナの首都キーウの中心部をミサイル攻撃した。

米CNNによると、セベロドネツクのストリュク市長は25日、同市が完全にロシアの支配下に入ったことを認め、市内は壊滅的な被害を受けたことを明らかにした。ロシア国防省の報道官も同日、セベロドネツクや近郊のボリブスケを「完全に解放」したと発表した。

セベロドネツクのアゾト化学工場には、民間人数百人が約3か月前から避難しており、ルハンスク州のハイダイ知事は同日、同工場へのロシア軍の砲撃は続いていると述べた。また、ストリュク市長は、ロシア側は同工場から出ようとする民間人らを撮影し、宣伝ビデオに使っていると主張。「かれらは心身両面で支援を必要としている」と訴えた。現時点で住民が市外へ脱出できる可能性はないとしている。

同市長はまた、「1日も早く、ウクライナ軍が奪還することを期待している」とし、「ただ、ウクライナ軍は撤退したことでロシア軍に包囲されなかった」と述べた。

ロイター通信によると、セベロドネツクから引き揚げたウクライナ軍は、ドネツ川を挟んで対岸に位置する都市リシチャンスクの部隊と合流し今後、ロシア軍への反抗を目指す「戦術的撤退」と強調した。

一方、親ロシア派はロシア軍が現在リシチャンスクを攻撃中だとし、露国防省も同市に南方から部隊を進め、25日には市街戦が始まったと主張しており、攻防の激化が予想される。

ゼレンスキー大統領は25日夜のビデオ声明で「G7サミット開幕前日に、国内各地にロシアのミサイル45発が撃ち込まれた」と非難。首都キーウでは26日朝、中心部シェフチェンコ地区の集合住宅にミサイルが着弾。内務省幹部は現場で記者団に、少なくとも男性1人が死亡したと明らかにした。キーウでのミサイル攻撃被害は5日の列車修理工場以来となった。

ゼレンスキー氏は、セベロドネツクなどこれまでに失った都市を取り戻すと主張したが同時に「(戦争が)いつまで続くのか、勝利が見えてくるまでにあとどれだけの犠牲を払わねばならないのか分からない」と語った。

ルハンシク州の隣ドネツク州でも戦闘が激化し、ロシア国防省は25日、ドネツク州をミサイルで攻撃し、装甲車などを破壊したと発表。さらに同日、これまで比較的攻撃を受けていなかった北部や西部の各地でも複数のミサイル攻撃が確認され、北西部の都市ジトーミルのスホムリン市長は、軍用機がベラルーシの方向から侵入しミサイル24発を発射したとしている。

このほか、ウクライナ北部の軍司令部によると、北部チェルニヒウ州でも合わせて20発のミサイル攻撃が確認され、一部はベラルーシ方向から侵入した軍用機が発射したとしている。

そのベラルーシのルカシェンコ大統領は同日、ロシアのサンクトペテルブルクを訪問し、プーチン大統領と会談した。ロシアのタス通信によると、プーチン氏はベラルーシに核兵器を搭載可能な短距離弾道ミサイルを数か月以内に提供する考えを伝えた。

プーチン氏は、「通常兵器と核兵器の両方タイプの、弾道ミサイルと巡航ミサイルを発射できるイスカンデルMをベラルーシに供与する」とした。イスカンデルMの射程距離は最大500キロとされる。さらにプーチン氏は、ルカシェンコ氏にベラルーシが導入しているロシア製SU25攻撃機が核兵器を搭載できるよう調整するとも伝えた。

一方、ドイツ南部の保養地エルマウで26日に始まったG7サミット。ロシアによるウクライナ侵攻後、対露制裁やウクライナ支援策を次々に打ち出してきたG7主要国は、ここにきて世界的な食料・エネルギー価格の高騰という新たな課題への対処を迫られている。戦争の終わりが見えない中、今回の会合ではG7が指導力を示せるかが問われる。

議長国ドイツ・ショルツ首相による今回のテーマは「公正な世界への前進」。28日まで3日間の日程で、世界経済や外交・安全保障、気候変動、エネルギー、食料安保などについて討議する。

 

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