2022-06-27 政治・国際

ジャーナリストの晴れ舞台―報道優秀賞を受賞したThe News Lens台湾の記事とは-

注目ポイント

アジア出版社協会が創設したSOPA優秀報道アワードが6月中旬に発表された。ネットニュース配信社台湾The News Lensは3部門4記事が受賞という快挙を成し遂げた。その4つの記事を紹介する。

 

≪インフォグラフィック報道優秀賞佳作≫

インフォグラフィックとは、図や表、イラスト、動くチャートなどを使って、情報を視覚化した手法である。今回受賞したのは、羅元祺、楊時鈞、黃彥翔、許靜之、翁世航、林奕甫らの制作チームがレポートした「氷とオイルの歌:北極航路、漁業権とエネルギー資源の争奪戦」(A song of ice and oil: The 21st Century Arctic Battle)である。地球の温暖化に伴い北極の氷が溶け、地政学的に状況が変化しようとしている現状をレポートしたものだ。北極点を中心にした地図を作成し、その地図上で従来の航路と北極回りの航路を比較している。また10~20年のスパンで北極圏の温度の変化や一年を通しての航行日数の比較などが詳しくレポートされており、非常に興味深く、おもしろい。後半では北極圏における石油、天然ガス、漁業資源の分布が紹介されている。

 

≪インフォグラフィック報道優秀賞ファイナリスト≫

2011年に発生した東日本大震災についてのレポート、「福島原発事故から10年、除染作業はあとどれくらいで終わるのか」(Fukushima 10 years on)【製作チーム:林奕甫、楊時鈞、黃彥翔、丁肇九、黃筱歡、Nicholas Haggerty】では、主に福島県の原子力発電所について書かれている。今までに汚染水がどれくらい放出されたかを、「50mプール554.2個分」というふうに例えて膨大な量であることをわかりやすく解説したり、汚染土壌の除去量を「台北駅17.8個分」に例えたりして、視覚的にもとても分かりやすい。また、原発事故による放射能漏れが引き起こした食品汚染についても詳細且つ客観的にレポートされており、各国の福島産食品輸入禁止措置解除もグラフで紹介されている。

今年4部門で受賞したことは大きな誇りであり、名誉であるが、製作チームの技術、努力、才能、感性、アイディアが価値ある報道に結び付いたことは間違いない。そして何より、ジャーナリストとしての独自の目線で忖度なしに鋭く切り込むことができたのが、賞を受けた一つの理由だと思う。

 

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