2022-06-23 世界

米政府がたばこからニコチン除去を義務化へ 英国では副流煙のペット健康被害に注意喚起

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

米国のバイデン政権は、たばこからニコチン成分をほぼ全て除去することを義務付ける政策を検討していると米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が21日報じた。また、英国では喫煙により発生する副流煙が、ペットにも重大な影響を及ぼすとして注意を呼び掛けていると英BBCが今週伝えた。

WSJ紙によると、ニコチン除去の義務化が実施されれば、950億ドル(約13兆円)ともいわれる米たばこ産業にとって、大きな逆風となる一方、米保健当局は数百万人の喫煙者のたばこ離れにつながるとみている。

米政府による規制措置の一環として同日発表された政策案は、数年後の実施を目指したもので、米食品医薬品局(FDA)は、来年5月をめどに規制リストを公表する予定だが、日程が変更される可能性もあるとしている。同局は最終的な規制を発表する前に、一般市民からの意見を求めるが、規制に反対するたばこ業界が政府を提訴する可能性もあり、実施はさらに遅れる可能性がある。

FDAのロバート・カリフ長官は、「ニコチンは強烈な中毒性を持つ」とした上で、「ニコチンの中毒性を最小限にまで下げ、もしくは無くし、将来の若者たちがたばこ中毒にならないようにする。同時に、たばこの中毒者たちが禁煙できる手助けになる」と述べた。

WSJ紙は、この動きが1998年の画期的な法的和解以来、喫煙を抑制するための政府による最大のステップとなると指摘する。98年の和解とは、たばこ会社が各州の医療費を支援するため、2000億ドル(約27兆円)以上拠出することに合意したものだ。また、和解の一環として、たばこ会社は無料の製品サンプル配布や看板広告など、さまざまなマーケティング制限にも同意した。

米国ではコロナ禍が始まった20年、喫煙率はわずかに上昇したものの、数十年にわたり低下している。米国疾病予防管理センターによると、20年には米国の成人の約12.5%、つまり3080万人が喫煙者だった。また、英調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、米国の紙巻たばこの売上高は、昨年の990億ドルから今年は950億ドルに減少すると推測されている。

ニコチン除去規制が実施されれば、米国で販売される全ての紙巻たばこに適用される。また、従来の紙巻たばこの輸入は禁止される一方、多国籍たばこ会社は他国ではこれまで通りのたばこを販売し続けることは可能としている。

そんな中、WSJ紙は22日、FDAがジュール・ラボ社の電子たばこ「JUUL(ジュール)」の米国での販売を禁止する方針で、早ければ今週中にも正式決定すると報じた。ジュールはスイーツやフルーツフレーバーなどさまざまな香りを提供し、パッケージのデザイン性に力を入れるなど、若者をターゲットにしたマーケティングを展開してきた。

ところが、この戦略が批判を呼び、未成年の使用が増えたことや、死亡を含む健康被害が続出したことで、消費者から訴えられ、裁判の数は全米で数千件におよぶという。同社は19年にフレーバーたばこの販売を中止。FDAは過去2年間、調査を進めてきた。

一方、たばこの有害性は人間に対してだけではない。

英BBCは今週、同国の国民保健サービス(NHS)が、副流煙によるペットの受動喫煙が及ぼす健康被害について注意喚起を呼びかけるキャンペーンを始めたと報じた。副流煙はイヌやネコ、トリやモルモットなどに限らず、観賞魚にまで健康リスクを高めるという。

スコットランドのグラスゴー大の研究によると、ペットは被毛をなめることから、大量の喫煙により被毛に付着した有害物質を摂取してしまうという。イヌのような大型のペットは発がんリスクを高め、ウサギやモルモットのような小型ペットは、呼吸困難や皮膚病の原因になることも分かった。

スコットランドのNHSラナークシャーのシャーリー・ミッチェル健康改善部長は英BBCに、「たばこの煙は人間同様にペットにとっても呼吸器の病気やがん、耳鼻咽喉部に異常をもたらすなど有害だ」と説明した。

また、サウスラナークシャーのデビッド・ガードナー・ロバーツ獣医師によると、たばこの煙は視覚的にはすぐに消えるが、85%の粒子は目に見えず、無臭だという。「空気中のミクロで有害な物質は最大5時間も残り、全てのペットにとって(健康上の)脅威となる」と解説した。

ロバーツ氏は、「子供や家族、ペットのためにスモークフリーの環境を促進することは、たばこの煙による有害な化学物質から身を守ること。副流煙に安全なレベルというものはない」とも述べた。

 

オススメ記事:

「ロシアの侵攻はこの先4~6週間がカギ」 ウ軍支援の長距離砲で新展開と米国高官

テスラが生産拡大のため中国で大規模採用開始 上海が第2の世界本社になる見通し

銃社会なのに乱射事件が起きないフィリピン 米誌が解明したその理由「hiya」文化とは

日本語教育発祥の地-台湾初の学校 歴史が眠る芝山巌-

中国がついに初の純国産空母「福建」を進水 高まる台湾や日本など周辺国への軍事圧力