注目ポイント
テスラは先ごろ、中国で大規模な採用活動を開始すると発表した。生産を拡大し、その中で研究開発人員は動力工学、ソフトウェアとハードウェア設計工程、車両ソフトウェアなど多くの分野の専門人材を採用する。これまでの製造のみから、研究開発にも重点を置くよう転向する明確な意思を示した。
市場は上海がテスラのグローバル第二本部になる見込みを強調し、中国本土化に向けて重要な一歩を踏み出したとみている。中国は原料、人材が豊富なことからテスラが工場を建てるにはまさに夢の国だ。
以前は「量産電気自動車車」といえばテスラだった。確かに良いデザインを持っているものの、実際の利益には反映されてこなかった。電気自動車の重要な原材料が制限され、また一方で優秀な製造エンジニアが足りず、収益がなかなか上がらなかったのだ。
2018年5月まで、テスラのイーロン・マスクCEOは株主総会で、中国・上海で初めてアメリカ以外の新センターを建てることを公表し、同年7月に上海に到着し、関連投資協定に署名した。
2年後、テスラ上海工場はすでに25万台のテスラモデル3、テスラモデルYを納品し、さらに今後は45万台に増える見込みだ。中国はテスラの「原料あり、労働者あり」という理想的な国なのは明らかだ。
マスク氏は「Business Insider」の親会社Axel Springeのマティアス・デップナーCEOとのインタビューで、中国が国民の福祉に力を入れていることを賞賛した。さらに、「一点豪華主義の一党独裁ではあるが、実は国民を大事にしており、アメリカ以上に世論に敏感である」とも述べた。現在、テスラは中国のレイアウトをさらに拡大し、研究開発スタッフを募集し、単純製造から研究開発デザインに転換しようとしている。
テスラは5月22日、「上海証券報」に大きな広告を掲げ、中国の研究開発革新センターが大規模な人材募集を行うと発表。募集プロジェクトの職務部門には、車両ソフトウェア、ハードウェア設計、動力とエネルギーや法規認証と車両工程などがあり、開設された欠員項目は少なくとも70件以上ある。
上海はテスラ第二本部になる見込みで、今後の発展への重要な一歩となる。このような人材の募集情報はかなり珍しい。なぜなら中国の新型コロナウィルスの再流行は未だ収束はしていなかったからだ。中国清算所のデータでも、4月に3か月連続で大規模な資金流出が発生しており、海外投資家が保有している中国債券が約3014億人民元(新台湾ドル1.32兆)に減っていた。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」は"中国のコロナ期間中の輸出ブームには陰りが見え、人民元の強さの第2の柱もそれゆえに失速している"。と形容した。
しかし、中国銀行国際証券(Bank of China International Securities)グローバル経済学者で、元国家外貨管理局の高級官僚の管濤氏は異なる見解を持っており、現在の海外投資家の短期行動が国内市場に圧力をかけると述べた。だが、長期的に見れば、資金は中国に流れ続けるだろう。いずれにせよ、中国の景気の見通しが不透明な段階であることは疑う余地がない。