2022-06-22 政治・国際

「ロシアの侵攻はこの先4~6週間がカギ」 ウ軍支援の長距離砲で新展開と米国高官

© Photo Credit: AP / 達志影像 Donbas

注目ポイント

膠着状態が続くウクライナ東部ドンバス地方で、ロシア軍の攻撃が今週中に激化する見通しだという。西側からの長距離砲システムの輸送がまだ散発的なウクライナ軍は苦戦を強いられているが、米高官はこの先4~6週間の戦闘が戦争の最終的な進路を決定すると語った。

ウクライナ南部に面する黒海では今週、巡航ミサイルを搭載した6隻のロシア軍艦艇が展開し、「ウクライナへ大量のミサイル攻撃を準備している可能性が高い」とウクライナメディアが報じた。

一方、ロシア当局はウクライナ軍がクリミア沖の黒海で、3か所のオフショア石油プラットフォームをミサイル攻撃したと発表。この攻撃で7人が行方不明になり、3人が負傷したとしている。これらのプラットフォームを含む「ボイコタワー」は、2014年のクリミア併合の後、ロシアがウクライナから略取したもので、ウクライナ政府は同タワーが軍事偵察に使用され、黒海の制権確保に利用されていると主張する。

そんな中、ロシア軍はウクライナ東部ドンバス地方の完全制圧に向け、陸上戦力を集中させている。軍事アナリストによると、NATO(北大西洋条約機構)加盟国からウクライナに供与される長距離砲システムの搬入が散発的なため、ロシア軍は今のところ東部でかなりの戦果を挙げている。だが、米バイデン政権の高官らは、この先4~6週間の戦闘が戦争の最終的な進路を決定するとの見解を示した。

ロシアはさらに多くの領土を制圧する可能性が高いものの、今度の展開として、枯渇したロシア軍と、より洗練された西側の武器支援を受けるウクライナ軍との膠着状態が続き、結局どちらの側もドンバス地方を完全掌握することはできないというのだ。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、ロシア軍は同地方ルハンシク州をほぼ制圧したが、完全掌握は進んでいないという。マーク・ミリー米統合参謀本部議長は、米国から供与された多連装ロケット砲システム(MLRS)など長距離砲システムと、その兵器の取り扱い訓練を受けたウクライナ兵が動員されれば、ウクライナ軍にとってゲームチェンジャーになる可能性を示唆した。

「正確に、また適切に使用できれば、戦場で非常に大きな役割を果たす」とミリー氏は欧州訪問に同行した記者団に語った。米国防総省(ペンタゴン)の高官らも、そうなればロシア軍はルハンシク州を制圧したときのように、ドンバス地方のもう一つの州であるドネツク州については、容易に制圧することはできないだろうとしている。

ウクライナ政府の推定によると、東部での数週間にわたる連日の激戦で毎日200人のウクライナ兵が死亡し、西側の推定によれば、ロシア軍の犠牲者は同程度かそれ以上とみている。

週末の報道によると、ロシア軍は過去2週間ほどをかけ、ルハンシク州最後の主要都市セベロドネツクとリシチャンシクのすぐ外にある町トシキフカのウクライナ軍最前線を突破した。トシキフカを制圧することで、ロシア軍はウクライナ側のセベロドネツクとリシチャンシクへの供給ラインを脅かすことになるという。また、米国防当局者は、ロシア軍の猛攻によりセベロドネツクとリシチャンシクがこの数日で陥落する可能性を示唆した。

米当局によると、ロシア軍の地上部隊はゆっくりと前進し、場合によってはわずか数キロ移動するのに数週間かかっている。 その理由は歩兵の不足か、あるいは侵攻開始後、最初の数週間で補給線の致命的な問題を経験した司令部が、慎重に作戦を進めている可能性があると同紙は指摘した。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、「われわれにとって、この戦いの代償は非常に高い」とした上で、「十分な数の近代的な大砲だけが、ウクライナの優位性を約束し、最終的にはロシアによるドンバスへの虐待行為を終わらせるという事実をわれわれのパートナーに毎日訴え続けている」と述べ、西側に対してさらなる軍事支援を求めた。

この先数週間のドンバス地方をめぐるし烈な攻防戦の展開が、今後の戦争の行方を占うことになりそうだ。

 

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