2022-06-17 経済

アップル「脱中国生産」を加速しインドとベトナムに新たなサプライチェーンを構築

© 中央社

注目ポイント

アップルが中国に工場を最大の持つメリットは、生産した携帯電話やタブレット端末を中国国内で販売でき、中国の消費市場を生産と結びつけることができる点にある。しかし、今回の再パンデミックがきっかけで、アップルの戦略は変わった。

米中貿易戦争で中国からの外資流出が加速しているが、「アップルのサプライチェーンを動かす」のは容易ではない。アップルは北京が提供する土地、人員、税制の優遇措置の恩恵を受ける一方で、「工場併設型市場」で中国の携帯電話市場を取り込むことができるのである。しかし、最近中国で新型コロナウィルスが再流行し、北京当局が厳しい取り締まりを行った結果、アップル社にとって40〜80億米ドルの打撃となり、これがアップル社のティム・クックCEOの考えを変え、インドやベトナムへの進出を加速させた。

アップルのiPhoneといえば、2007年から09年にかけて急成長し、その後2015年で出荷台数231.5億台でピークを迎えていた。ところが4年が経過した昨年、自国経済の好調を背景に237億9000万個と過去最高の出荷台数を更新したことが、調査会社Counterpointのデータから分かった。

富邦投資顧問の3月の調査によると、今年の世界のiPhone出荷台数は、前年比5%増の2億4700万台に達すると推定される。iPhone全体の出荷台数は3年連続で増加しているものの、もしその出荷に支障をきたし、当4半期の業績に影響を及ぼす可能性があるとすればそれは中国での新型コロナウィルスの再流行だけなのだ。

iPhoneの驚異的な成長は、この2021年に明らかになった。第4四半期の中国市場の売上高は前年同期比32%増で、スマートフォン市場全体の23%となり、中国でこれほど高い市場シェアを達成したのは初めてのことだった。コロナ禍にも関わらず、今年のスマートフォン世界出荷台数は13.6億台。iPhoneを除くAndroidスマートフォン世界出荷台数は、2021年の11.18億台とほぼ同程度の11.13億台となる見込みだ。一方、iPhoneは依然としてAndroidより強く、主に「中国市場の成長」の恩恵を受けている。

しかし、この問題に詳しい専門家が「ウォール・ストリート・ジャーナル」に語ったところによると、アップルは川下のファウンドリーにおいて、中国の厳しい規制による影響で少なくとも40~80億米ドルの打撃を受けた。また「その他の理由」もあり、アップルは中国以外の国での生産を拡大しようとしているという。

この「もう一つの理由」とは、中国の中央集権的な共産主義体制と米国との摩擦を考慮したものと思われ、貿易戦争の対立がますます激しくなる可能性があることを意味する。「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、アップルの中国への依存度の高さは潜在的なリスクであり、中国経済の成長スピードが緩やかになった今、次の市場を模索することもアップルの成長の原動力になっているという。

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