注目ポイント
「取りつかれたようにスマートフォンでソーシャルメディアをチェックし、それでも満足できず画面を次々にスクロール。スマホ無しでは不安を覚えるあなたのSNS利用度は不健康」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が指摘。今や世界中どこでも多くのユーザーたちがハマるSNS依存から抜け出すヒントを同紙が特集した。
意味もなくインスタグラムの画面をスクロールしたり、ツイッターで最新のスキャンダルをチェックする時、誰もが自分はスマホ依存なのかと感じる。そういった行動にどう取り組むべきか。本当の中毒なのか、いくつかの対策で改善できる不健康な習慣なのか、対応策はそれによって異なるという。
世間では〝スマホ依存〟などと呼ぶが、「真の意味でSNS依存症などの人は、ほとんどいない」とメンタルヘルスの専門家は説明する。ここでいう「依存症」とは軽度から重度まで自閉スペクトラム症のことを示し、治療にはセラピーや長期間の休養が必要とする病気だ。
たとえ医学的な意味の依存症ではなくても、多くの人がSNSを過度に利用しているのは事実だ。米シンクタンク、ピュー研究所による昨年の調査によると、70%のフェイスブック利用者は毎日同プラットフォームを閲覧し、その約半分は1日数回チェックすると答えた。
現代社会の新たな社会問題となったSNS依存について、WSJ紙は5つの典型的な〝症状〟を検証し、対策のヒントを提案する。
その1 取りつかれたようにSNSをスクロール
エレベーターの中やトイレ、公園を散歩中でも、少しでも〝間が開く〟とスマホでSNSの画面を取りつかれたようにスクロールし、設定したアプリの「通知」が入れば、運転中や横断歩道を渡っている最中でもチェックするという危険行為に及ぶ人たちも存在する。
対策のヒント: 通知設定を非通知にすることがおすすめ。もしくは、iPhoneの場合、設定の「集中モード」を勤務中や運転中には「自動的にオンにする」に設定する。そして、普段SNSに使う時間を何か別の活動に使うことだ。
その2 SNSが生活を阻害
就寝前に、例えばインテリアデザインの画像を見ることは何の問題もないだろうが、とめどもなく画面をクリックしたりスクロールせずにはいられない行動により、人間関係をこじらせたり、仕事に支障がでたり、睡眠障害や健康に影響が生じる場合には対処が必要になる。
対策のヒント: 24時間、画面に一切手を触れない〝スマホ断ち〟に挑戦する。米スタンフォード大医学部の精神科医アナ・レムケ教授は、「周囲に自分は丸1日連絡が取れないことを知らせる。友人や家族と一緒にスマホ断ちするのも良い」とアドバイスする。
その3 満足を求め、もっとSNSに依存
薬物依存症のように、SNSの過剰利用も満足感の耐性がどんどんと高まり、さらに刺激的なSNSの投稿を求めるようになる。その傾向を知るには、スマホの「スクリーンタイム」アプリでSNSの利用時間をチェックすべき。
対策のヒント: レムケ教授は1日にスマホを使用する時間を決めることができるSNSアプリを使い、使用時間を制限する。「麻痺したような感覚でスマホ画面をスクロールするのではなく、SNS時間を決めることが大切」だという。
その4 フォロワーを意識し、SNS投稿への使命感に迫られる
インフルエンサーに限らず、十代の若者や親たちまで、「頻繁にSNSを更新しなければ」という脅迫観念に似た責任感を感じる人たちも多いという。
対策のヒント: 米ジョージ・ワシントン大コンピューターサイエンスのカル・ニューポート准教授は、誰にも告知せずしばらくの間、SNS更新をしないこと試すべきだという。実際は、「誰も気づかないことがわかる」と指摘。必要ならダイレクトメールを個人や少数のグループとやり取りすることを勧めている。
その5 SNSを使用しないと禁断症状に襲われる
SNSを利用していない時、精神的不安やイライラ、不眠症、うつ、禁断症状を発症したら、それは本当の依存症状のあらわれだとWSJ紙は指摘する。
対策のヒント: ニューポート准教授は、クロゼットの古い洋服を整理するように、まずスマホから全てのSNSアプリを削除し、その後、アタマをリセットするのに2週間から1か月を要すると説明。リセットされた状態になれば、徐々に特定の用途に必要なSNSアプリだけを戻す。例えばフェイスブックが、あるグループとの情報をシェアするために必要な場合、フェイスブックのアプリを入れ、その目的のみで使用する。それでも、深刻な依存症状がある場合は、専門家のセラピーが必要になるとしている。
この10年で飛躍的に普及したソーシャルメディア。上手に付き合えばSNSほど便利な道具はないが、度を越えると心身症の原因にもなる諸刃の刃。何事もバランスが重要だ。
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