2022-06-07 経済

台湾の中薬コロナ治療薬―海外から好評価逆輸入-

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

台湾政府が感染者に対して公費で提供している漢方薬とは? 台湾は治療薬「清冠一号」の開発に成功。しかしこの漢方薬は先に海外で普及した。今年3月まで台湾は感染対策に成功したので、皮肉にも治療薬を必要としなかったからだ。

≪中薬との長いお付き合い≫

紀元前、劉邦によって建てられた前漢の時代に編纂された「皇帝内経」が、世界最古の医学書とされている。時代は下り、1550年、明の時代に荊防敗毒散が疫病抑制のために処方された。あれから470年、明の荊防敗毒散をベースに、変異性や臨床結果に合わせて調合した新型コロナの治療薬「清冠一号」が、漢方医学が普及している台湾で今、話題を呼んでいる。

≪海外で大人気のコロナ治療薬≫

2021年5月19日に完成した清冠一号は台湾より早く外国で製造販売された。欧米の薬より廉価で、デルタ株やオミクロン株にも幅広い効果があり、Amazonでも購入が可能、そして華僑の間で評判になったことなどの理由で、世界50か国での販売が順調、今年1月には55か国で10万箱以上が売れた。購入者の6割が華僑であったが、アフリカ南部エスワティニ王国の国王も清冠一号を服用している。海外での評判が台湾に逆輸入され、清冠一号が台湾でじわじわ浸透し始めた。

中医薬研究所の蘇奕彰所長は、海外での販売を視野に、開発当初から麻黄や細辛などの禁止成分を入れなかった。一方、中国製の清肺排毒湯は麻黄が含まれているので、個人輸入のみ許されている。

また、漢方薬独特の味やにおいになれない外国人にとって飲みやすくするため、ペパーミント味のものを作ったり蜂蜜を混ぜることを推奨したりして、普及に努力を惜しまなかった。

≪「清冠一号」の効果は実証済み≫

2022年3月24日、新規感染者が100人を超えて以来、台湾では連日感染者が爆発的に急増し、5月27日は9万人を突破、その後、政府のウィズコロナへの政策転換もあって、新規感染者数は毎日7~8万人ずつ増えている。そんな厳しい状況の中、台湾は中薬「清冠一号」の国内使用を認可した。軽症者と重症者を分けて対応し、無症状者と軽症者が重症化するリスクを防ぐためで、ホテルや病院、又は在宅で隔離されている感染者や感染リスクの高い同居者は公費で手に入れることができる。清冠一号は荊芥、防風、薄荷、桑葉、黃芩、板藍根、魚腥草、瓜蔞、厚朴、甘草の十種類の成分を配合した飲みやすい粉薬で、水に溶かして服用する。認可を受けた天一藥廠や順天堂藥廠など中薬8社が国内で製造している。

この治療薬は2021年5月から8月にかけて15の指定病院で524人の新型コロナ感染者(ICU集中治療中の重症者100人以上を含む)に対して臨床実験が行われ、その結果、清冠一号を服用しなかった患者と比較して、軽症者の重症化率は80%低下、死亡率も50%以上低下した。なお、重症患者の治療、特に肺疾患、肺血栓などに特化した清冠二号の製造販売も認可されている。

≪清冠一号は体を冷やす≫

一年前に完成したにもかかわらず、清冠一号は台湾でそれほど注目されて来なかった。新型コロナのパンデミックが始まった2020年初頭からずっと感染者の絶対数が非常に少なく、治療薬を必要としなかったことがその理由としてあげられる。

ここ数か月の感染者激増を受けて、清冠一号が注目され始めた形だが、基本的にこの中薬は解熱効果を主としているだけに、体が冷えやすい。国民、特に冷え性や月経中の女性の間では、これが理由で清冠一号の服用に二の足を踏んでいる人もいる。

© 公式サイトより

 

オススメ記事:

「悪女(わる)」-原作コミックと平成版ドラマと令和版ドラマ-

アパグループ元谷外志雄会長インタビュー【日台エグゼクティブの眼-Vol.1】

自民党青年局台湾訪問 未来の首相と台湾の絆

台東の地方創生を担う「東東市」 厳選の地域ブランドで土地の魅力をアピール

混乱する教育現場in 台湾 対面授業 vs オンライン授業の葛藤!