注目ポイント
日台のエグゼクティブにインタビューするThe News Lens Japanの連載企画。貸会議室大手ティーケーピーは、昨年、台湾台北市で大型レンタルオフィス・コワーキングスペース事業を始めた。リーマンショック、3.11、コロナ禍と、大きな危機を乗り越えてきた河野貴輝社長の確信と決意とは
以来、TKPはアパホテルのフランチャイズ方式による運営を展開。14年の「アパホテル(TKP札幌駅北口)」の開業から始まり、東京・日暮里、同西葛西、仙台、川崎、大阪・梅田、福岡・博多、同天神、東京・上野広小路など、次々にオープンしている。
台湾への進出

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一方、19年にはレンタルオフィス最大手・日本リージャスホールディングスを買収・子会社化し、世界展開するリージャスグループの英国の持株会社・IWG plcと独占的パートナー契約を結び、短中期オフィス事業へ本格進出した。同年には台湾リージャスを完全子会社化した。
台湾での目玉プロジェクトの一つが昨年、台北市にオープンした大型レンタルオフィス・コワーキングスペース「SPACES HONGWELL」だ。TKPによると、IT企業を始め、製造業やあらゆる業種の企業のコワーキング需要の高まりを受け、台北市の北側、内湖エリアの地下鉄「Gangqain」駅から徒歩5分の交通至便なオフィスビルの11階と12階区画(3305.79平方メートル)を「SPACES HONGWELL」として出店した。
内湖エリア進出の理由について同社は、「近年ITビジネスの集積エリアとして、またサイエンスパークとして開発され、IT企業をはじめとして、製造業などあらゆる業種の企業が国内外から集まっている。このことから、地元の企業をはじめとする拠点・支店の開設やサテライトオフィスなどの需要の高まりを見込んでいる」とした。
また、「出店場所の近辺には大きな公園や銀行、ショッピングモールや飲食店などの商業店が多く集まり、ビジネスとレジャーが共存するエリア」と恵まれたビジネス環境も指摘した。
台湾リージャスの稼働率は好調で、現在は台北に14か所の貸会議室など計7161坪(2万3672平方メートル)のフロアスペースを持ち、今後はさらに拡大していく方針だとしている。


一方、20年になると、想像もしなかった新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を襲った。多くの企業同様、河野氏も「コロナ禍は大変でした」と振り返る。そんな中で、「この2年間はオンライン配信に特化したサービスを提供してきた」と説明。リモートワークに切り替わった企業のニーズに対応すべく、会議などの配信に活路を求めた。だが、貸会議室などを契約しているスペースでは利用者がいなくても家賃は発生するため、全て赤字となった。
パンデミックが始まる直前だった20年2月期の連結売上高は543億円だったが、今年2月期は同446億円となり、2年間のコロナ禍で売上は約100億円減少した。