注目ポイント
ビールのお供に欠かせない枝豆。近年は健康食として世界中から注目されているが、日本に輸入される冷凍枝豆の中で台湾産は半数近くを占め、日本の枝豆市場を支える重要な生産国となっている。日本、台湾の冷凍枝豆にかかわるさまざまな数字を紹介する。
日本と台湾にゆかりのある冷凍品のトリビアを紹介する【数字で見る冷凍の世界】。第2回はおつまみとして定番の〈冷凍枝豆〉について。
※特記ない場合、数値は記事公開時のもの
43.5%/台湾産が国別でトップ
日本に輸入される枝豆の多くは冷凍品。主な生産国は台湾を筆頭に、タイ、中国、インドネシア、ベトナムで、日本冷凍食品協会が発表した「令和3年(1~12月)統計速報」によると、台湾産の輸入量は27,960トン、国別のシェアは43.5%。2位のタイ(27.8%)、3位の中国(23.9%)を引き離し、日本の枝豆市場を支える存在であることがわかる。
1位/青果物、農産品全体でも重要な位置に
台湾国内で生産された枝豆の大半は、冷凍品として日本に輸出されている。2016年と少し古い統計になるが、台湾の農産品の輸出額で、枝豆は青果物の中で1位、農産品全体でも13位と重要な位置を占めている。むき枝豆として総菜の原料によく使われ、今では日本と同じようにさや付きの枝豆を食す文化も広がってきたが、かつて枝豆はそれほど需要が高い作物ではなかった。冷凍枝豆の生産が本格化したのは1970年代以降。日本の冷凍品メーカーの要請で、高雄市や屏東県など南部で日本向け枝豆の栽培がスタートし、冷凍で輸出する環境整備が進められたことに起因する。
99%/高品質な枝豆の輸出を可能にする技術
農畜産業振興機構のレポートによると、枝豆は収穫してからの品質の劣化が早く、特に温暖な環境下では収穫後すぐに冷凍処理などの加工を行う必要がある。台湾では収穫を行う大型の農業機械・ハーベスターの導入で、ほぼ全量を素早く収穫できるため、手作業での収穫が主なタイや中国と比べて、高品質な枝豆の輸出が可能になっているという。
1982年/独自品種の誕生
台湾における枝豆の品種改良は、日本の農林水産省に相当する行政院農業委員会の高雄区農業改良場で行われている。取り組みが始まったのは1960年代。1982年には独自品種の「高雄選1号」が誕生し、「高雄12号」まで12品種が開発されている。主力の品種は「高雄9号」。暑さに強く、地面から高い位置にさやを付けるため、機械による収穫にも適しているという。ちなみに近年は風味も重視され、ほのかな芋の香りがする茶豆系の「高雄11号(香蜜)」なども日本に輸出されている。
日本で枝豆といえば、塩茹でしたさや付きのものが定番だが、台湾ではもうひと手間加えることも。特に、茹でた枝豆にごま油、ニンニク、赤唐辛子、五香粉、黒胡椒などを合わせたソースで炒める「黒胡椒炒毛豆」は、夜市や熱炒(台湾式居酒屋)の定番メニュー。これからの季節、ビールが進むことは間違いない。