2022-05-31 アジア

「ゼロコロナ」の中国で新規感染者が減少 北京、上海は6月1日をめどに規制解除へ

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注目ポイント

「ゼロコロナ」政策を掲げる中国で、ようやく上海と北京でロックダウン(都市封鎖)など、厳格な規制の解除が始まった。中国最大の都市・上海での約2か月にわたるロックダウンによる経済損失は自国のみならず、世界に大きな影響を及ぼしている。また、ひと月ほど前に首都・北京では地域単位で封鎖されてきたが、こちらも日常が戻る兆しが見え始めた。

中国保健当局によると、29日の新型コロナウイルスによる全国の新規感染者は2936人で、7日間平均の3578人から減少傾向が続いている。ピークだった4月中旬は、1日の新規感染者が5万人を超えていた。また、新たな有症状の感染者は28日の54人から29日には20人と半数以下に。北京と上海ではそれぞれ8人と6人だった。

そんな中、上海では29日時点で外出禁止措置の対象となっているのは22万人で、2200万人以上が住居周辺への外出は許されており、市当局は6月1日から営業再開にあたり、許可申請をする必要がなくなると発表。市内の超大型ショッピングエリア「新天地」なども含まれるとしている。

同市は、都市封鎖期間中に従業員をレイオフしなかった事業主に対する救済支援策として補助金の交付制度を設ける。また、コロナ禍で落ち込んだ経済の景気刺激策として、今年中ならガソリン車から電気自動車への買い替えに、1万人民元(約19万円)の補助をすることも発表した。

だが、2か月間に及んだ上海のロックダウンを含む中国各地での都市封鎖により、景気見通しが急速に悪化しているのは事実だ。コロナ規制が製造業とサービス業に打撃を与え、4月の購買担当者指数(PMI)は、パンデミックが始まった2020年前半以来の低水準に沈んだという。

特に上海は世界的な物流の拠点でもあり、ロックダウンによる経済損失は甚大だ。例えば、トヨタ自動車は6月の世界での生産台数を10万台減産すると発表した。当初計画していた95万台から85万台に減産するという。これは、上海のロックダウンにより物流が滞り、部品の調達が困難になったほか、半導体が不足しているためだ。トヨタは5月も同様の理由で、一時、工場の稼働を停止し、3万台減産していた。

また、厳格な都市封鎖により、上海では数千人にも及ぶ路上生活者を生む結果になった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「コロナ禍でホームレスとなった人の多くは農村部や中小都市から移住してきた労働者で、雇用企業がロックダウンで閉鎖され、社員寮も封鎖されたために住居を失った」と伝えた。

同紙は、「一部の労働者は、自転車やスクーターで上海市内を移動する料理宅配サービスの数万人の配達員に加わった」としている。

一方、北京でも29日、臨時休業していた高級ブティック店が集まる大手ショッピングモールなども営業再開を発表。また、首都郊外に点在するホテルも営業再開に向け準備を始め、テーマパーク「ハッピー・バレー・北京」は6月1日からの再開を目指すとしている。北京では、同市としては過去最大の感染拡大が起きており、過去5週間にわたって住民数十万人に外出自粛が命じられてきた。

市内の房山区と順義区で在宅勤務規則が解除されたほか、両地区と北京最大の朝陽区で大部分の公共交通機関が運行を再開した。

7日連続で感染者が確認されなかった地区では、29日から人数を制限した上で図書館や美術館、劇場、スポーツジムの再開が可能になったが、レストランでの飲食は市全域で依然禁止されている。

ただ、ロイター通信によると、封鎖解除がどのように進められるかを巡っては、なお混乱も多いという。企業が事業再開を許可される一方、一般市民の多くはいつから外出が可能になるか知らされていない。公共交通機関は多くが停止されたままで、事前の許可なくマイカーで路上を走行することもできないという。

 

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