2022-06-06 経済

貧困状態の子供の支援、地方自治体の実例について

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注目ポイント

現在、日本では7人に1人の子供が貧困状態に苦しんでいる。これはOECD加盟38カ国で最悪の貧困率である。この課題を解決するために大阪府箕面市ではデジタルデータを活用した、「子ども成長見守りシステム」の運用を行い、貧困家庭の子供の早期発見につなげている。その他の自治体での取り組みも紹介。

厚生労働省より発表されているデータでは、現在の日本の子供の貧困率は13.5%と、7人に1人の子どもが貧困状態にあるとされる。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最悪の貧困率とも伝えられている。

貧困状態に置かれる子供は、ひとり親という環境で育つケースも多く経済的な困窮の他、学力やコミュニケーション能力の低下、不登校など、成長過程でさまざまな問題に直面する。そのため、潜在的な貧困の子供を早期発見する仕組み作りが急務となってきているのだ。

喫緊の課題となっている子供への貧困対策、支援についてどんな取り組みが行われているのだろうか。いくつかの自治体の先行事例をみてみよう。

 

大阪府箕面市では、0歳から18歳までを対象とした「子ども成長見守りシステム」を運用し、支援が必要な困窮家庭の子供の早期発見に努めている。

これは、市の教育委員会がデジタルデータや、各学校からの情報提供により対象となる子供を抽出を行った後、その後、それぞれの判定項目に適した支援に繋げるというものだ。

茨城県つくば市でもこの箕面市の施策を参考にした「データベース見守り」を構築、義務教育課程の児童生徒を対象とした制度を取り入れており、また、広島県府中町でも18歳までの子供に対し成長に関する様々な情報を集約し、AI を活用し児童虐待などリスク予測を行った上で予防的な支援を届ける「AI 子供見守りシステム」を運用している。

この他にも、千葉県柏市が行う「学校版スクリーニング」は、義務教育課程の各学校において、既存の学年会議等を発展させての状況共有や、全児童生徒から児童虐待・いじめ・貧困の問題など表面化しにくい問題を抱える子供や家庭を早期発見し、適切な支援につなぐいう内容となっている。

埼玉県戸田市では、データベースを用いてハイリスク家庭を特定し、支援の働きかけなどを含め、当該 NPO法人に委託する取組を実施。こちらは当該地域の小学校1~3年が対象だ。

何れの取り組みも、デジタルデータなどでの抽出・絞り込みの後、次工程で担当者や関係各所とのコミュニケーションにより、それぞれどんな支援が必要かを判断する。学校などでの日常の表情や行動内容の情報収集、もちろん保護者へのアプローチなど、リスク回避のための様々な努力が求められる。子供たちの豊かな未来を築くためには、地域の大人たちの密接な連携が何よりも重要となる。


 

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