2022-05-30 流台湾

【音楽から学ぶ中国語ー伝説の女優/歌手の一曲《野薑花的回憶》】

© 公式サイトより

注目ポイント

1970年代後半から80年代にかけて活躍した劉藍溪(リウ・ランシー)。「永遠のセカンドヒロイン」として人々に愛された彼女の楽曲から、芳香を放ちながら純白の花を咲かせるハナシュクシャをモチーフにしたバラードをピックアップ。切ない恋模様はどう綴られるのか。

劉藍溪は、子役時代から台湾で活躍した女優であり、また歌手としても知られている。彼女は瓊瑤(台湾の恋愛小説家として中華圏で絶大な人気を誇り、その繊細なタッチで描かれた作品は、数々の映画やテレビドラマとして映像化されている)の映画への出演で人気を博し、準主役としてヒロインの親友などを演じる「永遠のセカンドヒロイン」としても名を馳せた。1980年代の初頭には、台湾の恋愛映画が下火になったこともあり、香港へも活躍の場を広げている。

また、1970年から1980年代にかけてブームとなった校園歌曲(台湾で作詞作曲され、学生や若者を中心に、主にギターを弾きながら歌われた中国語歌曲)の時代には、劉藍溪のその甘い歌声は、当時の美的トレンドとも完全に一致しており、彼女がリリースしたファーストアルバム「夕陽戀曲」は、1977年から1980年にかけて大ヒットとなった。また同時に、台湾レコード業界の「低生産コスト・大量生産」戦略のもと、短期間のうちに数多くのアルバムをリリースしている。

1982年、劉藍溪は日本のレコード会社「CBS・ソニー」に見出され、日本でのトレーニングを受けた後、3枚のシングルEP《愛のかげろう》《旅の続き》《ムーンライト・シャドウ》をリリースしている。

そして今回紹介する楽曲は、劉藍溪がリリースしたアルバムのタイトル曲にもなっている、「野薑花的回憶(ハナシュクシャの思い出)」である。

作詞:靈漪

作曲:林詩達

編曲:林家慶

三月裡微風輕吹 吹綠滿山遍野

3月のそよ風は、山々や大地に緑を運ぶ

 

雪白又純潔 小小的野薑花

清く真っ白な、野に咲く小さなハナシュクシャ

 

偶然一天沉默的你 投影在我的世界裡

いつも無口なあなたが、ふと私の世界によみがえった

 

一朵朵野薑花 點綴生命的芬芳

野に咲くハナシュクシャ、生命に香りをもたらす

 

三月裡小雨輕飄 飄過滿山遍野

3月の小雨は、一面の野山に降りそそぐ


每一朵野薑花 都是我的回憶

野に咲くハナシュクシャ、私の思い出のすべて

 

劉藍溪は、アメリカで5年間仏教を学んだ後、1971年7月、家族や夫の勧めにより、「道融」という法名で僧侶になった。修行のためにインドに渡った後は、仏典の翻訳と指導に従事。2022年1月10日、米国カリフォルニア州サンフランシスコの「金山智藏寺」で生涯を閉じた。

 

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